今季最大級の「短期決戦用エース」を巡り、早くも札束と若手資産のにらみ合いが始まりそうだ。米メディア「スポーティングニュース」は21日(日本時間22日)までに、タイガースのタリク・スクバル投手(29)が今季終了後にFAとなることを踏まえ、8月3日(同4日)のトレード期限へ向けた争奪戦の中心にドジャースとヤンキースが浮上すると伝えた。

 スクバルは2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞に輝いたメジャー屈指の左腕。今季も7試合に先発して3勝2敗、防御率2・70、43回1/3で45奪三振、6四球と支配力は落ちていない。6日(同7日)に左肘の遊離体除去手術を受け、現在は復帰過程にあるが、順調に戻れば市場に出る投手の中で最上位の存在となる。

 タイガースは21日(同22日)現在、20勝31敗でア・リーグ中地区最下位。首位ガーディアンズとは9・5ゲーム差まで開き、直近10試合も1勝9敗と失速している。プレーオフ争いからさらに遠のけば、今オフに流出する可能性がある大物左腕を抱えたまま期限を越すのか、見返り重視で放出するのかという難題に直面する。

 そこで熱視線を送るのが、資金力と勝負勘を併せ持つドジャースとヤンキースだ。ドジャースは31勝19敗でナ・リーグ西地区首位に立つ一方、ブレーク・スネル投手(33)、タイラー・グラスノー投手(32)ら故障者も抱える。大谷翔平投手(31)、山本由伸投手(27)にスクバルが加われば、短期決戦の先発陣はさらに凶悪化する。高額年俸をのみ込める財力と、若手を差し出せる層の厚さも強みだ。

 一方のヤンキースも30勝21敗でア・リーグ東地区2位。ゲリット・コール投手(35)、マックス・フリード投手(32)、カルロス・ロドン投手(33)らを擁しても、王座奪回へ最後の一枚を欲しがるのが名門の宿命だ。スクバル獲得は単なる補強ではなく、ポストシーズンで相手打線を黙らせるためのメッセージにもなる。

 問題は代償だ。レンタル扱いとはいえ、スクバル級ならタイガースが要求する対価は跳ね上がる。ドジャースか、ヤンキースか。期限市場の主役を巡る東西名門の綱引きは、まだ水面下の段階からすでに火花を散らしている。