富める者は、さらに富む――。英有力紙「ガーディアン」は15日(日本時間16日)、カブスからFAとなっていた大物カイル・タッカー外野手(28)のドジャース移籍について、このように皮肉を込めて報じた。

 米主要メディアが同日、一斉に報じたタッカーとドジャースの契約合意内容は4年総額2億4000万ドル(約380億円)。年俸換算で6000万ドル(約95億円)は、繰り延べを除けば大谷翔平投手(31=ドジャース)に次ぐMLB史上2位の水準だ。

 だが、その報道内容は、称賛一色ではない。むしろ同紙が焦点を当てたのは、華やかな数字の裏に潜む「隠されたリスク」だった。前出のガーディアンが指摘する最大の懸念は、タッカーの稼働率だ。

 過去2シーズンでレギュラーシーズン出場は214試合。カブスで過ごした2年目の昨季も6月に右手の骨折、9月には左ふくらはぎを痛めるなど2度の離脱を経験した。健康であれば、リーグ屈指のオールラウンドプレーヤーであることは疑いようがない。とはいえ、その「健康であれば」という前提条件が常につきまとう。

 事実、昨季序盤のタッカーは好調だったもののオールスターブレーク後は打率2割3分1厘、5本塁打と失速。ポストシーズンでも指名打者に回る場面が増えた。英有力紙はここを見逃さず「ドジャースが手にしたのは完成されたスーパースターであると同時に、扱いを誤れば危うい存在」と評した。

 もちろん、ドジャース側も無策ではない。契約にはオプトアウト条項を盛り込み、リスク分散を図った形だ。それでも、平均6000万ドルという〝史上級の投資〟である以上、期待値と現実のギャップが許される余地は小さい。外野の最後のピースを埋めた一方で、ロサンゼルスは同時に「爆弾」を抱え込んだ――。前出のガーディアンは、そう警鐘を鳴らしている。

 ワールドシリーズ3連覇へ向け、ドジャースはまた一歩前に進んだ。しかし、その足元にはいつ作動するか分からない導火線も伸びている。歴史的契約が〝英断〟となるか、それとも〝過剰投資〟として語られるのか。その答えは、タッカーの健康状態が握っている。