まだ再反撃の糸口は十分に残されている――。昨年のワールドシリーズ第7戦で世界一を奪われただけでなく、今冬のFA市場でもドジャースの前に辛酸をなめたブルージェイズは、落胆する間もなく早々と次の照準を定めているようだ。

 カブスからFAとなり、今冬市場で最大の大物と目されていたカイル・タッカー外野手(28)がドジャースと契約合意に達したことで、ブルージェイズの今オフは現状、一転して失敗のらく印を押されかねない状況となった。だが、地元トロントでは早くも「次の一手」に注目が集まっている。

 キーワードは「シフトチェンジ」だ。ブルージェイズの親会社ロジャーズ・スポーツ&メディアが運営する同球団系列の地元放送局「570ニュースラジオ・キッチナー」も15日(日本時間16日)、タッカー獲得に失敗したブルージェイズの置かれている「現状」と「今後」について詳細に触れている。

 ブルージェイズはタッカーに球団史上屈指の10年契約を提示していたとみられているものの、最終的に選ばれなかった。とはいえ、フロントが手を緩める気配はない。焦点は自軍からFAとなっているボー・ビシェット内野手(28)との残留交渉、そしてヤンキースからFAとなっているコディ・ベリンジャー外野手(30)の獲得に移っている。

 フィリーズとオンライン面談を行っているとされるビシェットを引き留めることができれば、打線の〝芯〟は維持される。遊撃を軸に二塁へのコンバートも視野に入れた柔軟な起用は、守備力の底上げにもつながる。

 一方、左打ちのベリンジャーは外野の即戦力としてだけでなく、将来的に退団の可能性があるジョージ・スプリンガーら外野手(36)の穴を先回りして埋める存在だ。攻守両面での汎用性に関しては、同局も「タッカー不在を補って余りある」と評している。

 もちろん問題はコストだ。ブルージェイズはすでにぜいたく税(CBT)の最上位ゾーンに足を踏み入れており、追加補強には実に60%もの〝重税〟がのしかかる。それでも同局は「ビシェット+ベリンジャーの組み合わせなら、タッカー1人より戦力的な広がりは大きい」と見る。

 タッカー争奪戦敗退は確かに痛手だ。しかし、それは「撤退」ではなく「再構築」の合図にすぎない。ブルージェイズは今、失った星を嘆くよりも2つの駒で局面をひっくり返そうとしている。失敗を成功に転じられるか――。その答えは、このシフトチェンジの成否にかかっている。