衝撃の一報に、トロントの夜は沈黙した。カブスからFAとなっていたカイル・タッカー外野手(28)が15日(日本時間16日)、最終的にドジャースと4年総額2億4000万ドル(約380億円)で合意したと複数の米主要メディアが一斉報道。今オフ最大の目玉とされた争奪戦は、またしてもドジャースの勝利で幕を閉じた。
タッカーを巡ってはメッツが年俸5000万ドル(約80億円)級の短期高額契約、ブルージェイズが10年クラスの長期大型契約を提示したとされ、三つ巴の様相を呈していた。特にブルージェイズはフロリダの育成施設への招待や主力選手による〝後押し〟も伝えられ、地元のトロントでは「今回は本気だ」と期待が高まっていた。
だが、結果は無情だった。カナダの放送局「スポーツネット・カナダ」は、ドジャースが4年総額2億4000万ドルという「現実的かつ破壊力抜群」の条件で一気にスパートをかけたと指摘。2023年オフにもブルージェイズは当時エンゼルスからFAとなった大谷翔平投手(31)の獲得を目指し、最終候補に残っていたものの結局のところドジャースに争奪戦で敗れている。2年前と同様、情報戦を制したロサンゼルスにトロントはまたしても最後まで対抗しきれなかった格好と言える。
同メディアも記事内で報じているようにSNS上では、トロントファンの嘆き節が噴出。「煙は上がったが、青とオレンジではなかった」「この5分間、ただパソコンの画面を見つめている」「また〝邪悪な帝国〟が完成した」といった投稿が相次ぎ、怒りと諦念が入り混じる空気が広がった。ドジャースへのブーイングも激しく「タッカー1年分の年俸が、マーリンズの総年俸の大半に相当する」と、球界の格差を皮肉る声も目立つ。
一方で地元メディアは、ブルージェイズの〝次の一手〟にも視線を向け始めている。タッカー獲得に失敗したことで、自軍からFAとなっているボー・ビシェット内野手(27)との残留交渉やコディ・ベリンジャー外野手(30)ら別の大物FAへのシフトが現実味を帯びてきた。
ただ、タッカーという「理想形」を逃した事実は重い。ドジャースは静観から一転、最後に全てをさらっていった。トロントに残ったのは「また、ドジャースか」という、ため息とともに残響する一言だけだ。












