米国・WWEのレジェンド、ジョン・シナ(48)の引退試合が波紋を呼んでいる。

 13日(日本時間14日)の「サタデーナイツ・メインイベント」(ワシントンDC)で行われたラストマッチは、シナが〝皇帝〟グンターの胴締めスリーパーでまさかのタップアウト。大激闘の結末はWWEユニバース(ファン)に衝撃を呼び、会場は「クソったれ!」との大チャントが起きて、騒然となった。

 シナはリング上でのマイクあいさつはなく、去り際にカメラに向かって「これまでみなさんにお仕えできて光栄でした。ありがとう」とだけ言って、ファンに別れを告げた。その後も大会のポストショーに出演せず、引退会見も行われなかった。まさに〝賛否両論の男〟らしい去り方だったが、シナの引退試合は米経済誌「フォーブス」でも報じられた。

マットにシューズとリスト&アームバンドを残し、リングを去ったジョン・シナ(©WWE)
マットにシューズとリスト&アームバンドを残し、リングを去ったジョン・シナ(©WWE)

 同誌は「ネバーギブアップ」を信条とした男が、最後は諦めてタップして〝バッドエンド〟で終わったことで「涙を流す子供たちの姿が映し出された。彼らは人生の早い段階でジョン・シナを知ったばかり。ところがこの夜、WWEは知らず知らずのうちに『諦めてもかまわない』と彼らに教えてしまったのかもしれない」と伝えた。

 さらには、シナ引退によるWWEへの影響にも触れた。「スポーツ金融の専門家であるロブ・ウィルソン博士は『ベガスインサイダー・ドットコム』に対して、ジョン・シナの不在によってWWEの失う金額は約7000万ドル(約109億円)と推定されると話した」とし、100億円以上となる巨額の損失が生まれるという。

 シナは引退試合の前に、WWEと新たにアンバサダーとして5年契約を結んだと自ら明かした。これにより「彼が試合に出場しないことで、同社の収益は年間約4000万~7000万ドル減少すると思われるが、彼のアンバサダーとしての存在感はブランドの影響力をある程度維持するのに役立つ」と、ウィルソン博士は分析したという。

 一方でシナの引退ツアーでは、ばく大なお金を生み出した。「フォーブス」は「カナダスポーツベッティング・ドットコム」のデータを引用し、シナの引退試合の平均チケット価格は866・98ドル(約13万5000円)で、12月12~14日の週末における民泊の平均料金は300・06ドル(約4万7000円)。ホテルの平均宿泊費は357・25ドル(約5万5000円)。2名分の現地総費用(航空券を除く宿泊費&チケット代&飲食費)は2612ドル(約41万円)で、価格変動性の米国でも「注目度の高いライブイベントで稼ぐ金額の、極端な例の一つとなった」(同誌)。

 ハリウッドスターとしても活躍するシナだけに、同誌は「ジョン・シナの引退ツアーは永遠に賛否両論の的となるだろう」。物議を醸したままリングを去ったシナだが、その影響力は正真正銘のスターそのものだった。