米国・WWEの「サタデーナイツ・メインイベント」(13日=日本時間14日、ワシントンDC)でジョン・シナ(48)が引退試合を行い、〝皇帝〟グンター(38)のスリーパーホールドにタップして壮絶に散った。

 会場のキャピタル・ワン・アリーナに1万9232人満員の観衆が詰めかけた。シナは「レッツゴー、シナ!」の大チャントを浴びて最後の入場。リングサイドにいた、2002年6月のWWEデビュー戦の相手だったカート・アングル、トリッシュ・ストラトス、マーク・ヘンリー、ロブ・ヴァン・ダムらレジェンドらと握手をかわして、最後のゴングが鳴った。

 元世界ヘビー級王者のグンターは、序盤から得意の水平チョップでシナを痛めつける。シナはフライングタックルから「見えっこねえ!」のポーズ。すかさすファイブナックルシャッフルをぶち込んだ。続けてアティテュード・アジャストメント(AA)を狙うが、皇帝はすさまじく強い。強烈なジャーマンからパワーボム、ラリア―ト連発で48歳となったシナのスタミナを奪っていく。

 シナはグンターの必殺スリーパーホールドをかわしておきて破りのスリーパーだ。さらに場外では鉄階段の上からAAを放ってテーブル葬に。リング内ではコーナーからレッグドロップを見舞い、無敵の皇帝を追い詰める。再三のファイブナックルシャッフルに雪崩式AAまで繰り出すが、皇帝から3カウントを奪えない。スタミナを削られたシナはパワーボム、ダイビングスプラッシュの前に防戦一方になる。

 皇帝は必殺のスリーパー地獄にシナを引きずり込み、執ように裸絞めで絞め上げる。シナは一度はAAで切り返すが、エルボーを首筋に叩き込まれ、またも胴締めスリーパーで捕獲された。必死に逃れるが身動きが取れず、観念したかのように笑みを浮かべて左手でタップアウトの意思表示。「ネバーギブアップ」が信条だった男が皇帝に予告された通り、ギブアップして25年に及ぶプロレスラー人生を終えた。

 奮闘及ばす敗れたシナだが、すがすがしい表情。CCOのトリプルH、統一WWE王者コーディ・ローデス、世界ヘビー級王者CMパンクらスーパースター、スタッフがリングサイドが集まり、別れのセレモニー。コーディとパンクから「恩返しだ」とベルトを渡され、シナははにかみながらベルトを掲げた。四方に礼をするとシューズを脱ぎ、リストバンドとアームバンドを外してリングに置いて引退の〝儀式〟を行った。そのままリングを下りて花道を引き揚げて、入場口の前で「ありがとう…」とつぶやき、最後は敬礼ポーズを決めてバックステージに消えた。

 3月にザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)と結託して悪党に転向。4月の「レッスルマニア42」でコーディから統一WWE王座を奪い、プロレス史上最多となる17度目の最高王座を獲得した。8月の「サマースラム」でコーディとの再戦を前に、元の「ハッスル・ロイヤリティー・リスペクト」を信条とする元のシナに戻った。最高峰王座はコーディに奪回されたが、昨年7月に引退を発表して以来、1年半に及ぶ引退ロードを突っ走ってきた。

 レジェンドは最後まで涙を見せることなく、プロレスラー「ジョン・シナ」のままリングを去った。