スターダム26日の横浜アリーナ大会で行われたワールド王座戦は、挑戦者の玖麗さやか(25)が上谷沙弥(29)を撃破し第21代王者に輝いた。2025年度のプロレス大賞で、史上初めて女子レスラーとしてMVPを獲得した上谷から大金星。衝撃のニューヒロイン誕生の裏には、昨年4月の同大会で引退した中野たむの〝遺言〟があった。
敗れれば「コズミック・エンジェルズ(CA)」解散という十字架を背負って大一番に挑んだ玖麗は、雪崩式スタークラッシャーを始めとした上谷の猛攻にさらされる。
それでも驚異的な粘りで逆転に成功すると、最後はときめきスピアーから初公開となる奥の手・ファイヤーバードスプラッシュで激闘に終止符。ついに頂点の赤いベルトを巻き「スターダムをもっともっと明るく、彩りいっぱいの、夢いっぱいの世界にしていきます」と所信表明した。
キャリア2年4か月の玖麗が年間最大興行のメインに立つことには賛否の声もあった。「まあそうだよなって思ってました。みんなが『まだ早いだろ』と思うようなことを実現させたこと、挑戦にこぎつけたことには自信を持てましたけど…ちょっと傷つきました」と振り返ったが、CAの仲間やファンからの「信じているよ」の声に勇気づけられた。プロレス入り前に東京芸術大を目指し3浪したという経験も、挫折からはい上がる力をくれた。
背中を押してくれたのが、師匠・たむの存在だ。試合中に繰り出したバイオレットスクリュードライバー、バイオレットシューティングは、たむから託された技だった。「どれだけ試合がダメダメでもずっと隣で指導してくれて、私を信じてくれて託してくれたんです。たむさんはずっと『スターになれる素質がある』と言ってくださっていて、その言葉をお守りのように持っていて『自分ならやれる』と思えているんです」
たむは1年前の横浜大会で上谷との「敗者引退マッチ」に敗れリングから去った。試合後の会場で、玖麗は「スターダムドリームを託したよ」と最後の言葉を投げかけられていたという。「私が託されたんだと思って夢に向かって…だから今回の挑戦も、スターダムドリームをつかむんだって思ってました。だから、たむさんには『スターダムドリーム、かなえました』って伝えたいです」と1年前の約束を果たせたことに、感慨深げな表情を浮かべた。
性別の垣根を越えてプロレス界の頂点をつかみ取った上谷から、ベルトを奪取した責任も重い。「玖麗さやかというプロレスラーがいるスターダムって、めっちゃすごいんだよっていうのを広げていける存在になりたいですし、上谷沙弥を超えていきたいです。新人賞と女子プロレス大賞とMVPを取るぞ!と思ってます」とキッパリ。新人賞資格保有者にはフワちゃん、ウルフアロン(新日本プロレス)と強力なライバルも存在するが「その中でプロレスラーになりたくてプロレスの門をたたいた私が取ったら、めっちゃ名誉なことなので、知名度をこれから上げていきます」と笑顔をはじけさせた。
ちょうど1年前に〝宇宙一かわいいアイドルレスラー〟が去ったリングに、無限の可能性を秘めたニューヒロインが誕生した。













