〝りかしん〟が秘める可能性は――。フィギュアスケートの西日本選手権兼全日本選手権アイスダンス予選会(滋賀・木下カンセーアイスアリーナ)で、紀平梨花(23=トヨタ自動車)、西山真瑚(23=オリエンタルバイオ)組は、合計136・74点で3位に入った。デビュー戦で表彰台に立った新カップルの演技は、専門家にどう映ったのか。全日本選手権で4連覇を果たした2006年トリノ五輪代表の木戸章之氏(50)を直撃した。

アイスダンスのトリノ五輪代表だった木戸章之氏
アイスダンスのトリノ五輪代表だった木戸章之氏

 9月末にカップルを結成した〝りかしん〟は、随所で息の合った演技を披露。ミスが出る場面もあったが、堂々たるパフォーマンスで観衆を魅了した。

 木戸氏 表現力がすごくよかったです。一つの作品としての完成度が1か月でつくったとは思えないぐらいよかったし、正直ビックリしました。特に紀平選手はエキシビションなどで慣れているからだと思うが、見ている側も見やすかったですし、お客さんに対して見せることへの心構えがよくできている印象を受けました。

 カップル結成から約1か月で迎えた実戦で、潜在能力の高さを示した。ただ、滑りの面では課題も露呈。カーブの描き方に改善の余地があるという。

 木戸氏 スケーティングで音楽を表現する技術や、リズムの取り方とかはさすがにまだできていないですね。あと、これは〝りかしん〟に限った話ではないが、カーブを使ったスケートがまだできていない傾向があります。スケートってカーブを描くじゃないですか。アイスダンスはカーブの描き方を基礎からしっかりやらないとなかなかうまくいかないし、スケート靴のエッジを倒してカーブを描けるようにならないといけないですよね。

演技中、紀平梨花(左)をリフトする西山真瑚
演技中、紀平梨花(左)をリフトする西山真瑚

 西山と異なり、紀平はシングル一筋の競技生活を送ってきた。今後はカップル種目ならではのリフトも磨いていく必要がある。

 木戸氏 リフトは女性側が自分の体の重心を理解すると、やりやすくなります。紀平選手は体操をやっていたと思うので、そういう系統のトレーニングもすることで、重心の使い方を覚えられると思います。アイスダンスのリフトは男性が女性を激しく回す動きや、低い場所で回す動きが多いけど、必要なのは力よりも、遠心力を利用したり、向心力を逃がしたりすること。今は男性側がしっかりウエートトレーニングをしているが、自重のトレーニングや体操チックなこともやってほしいですね。

〝りかしん〟は2030年に、フランス・アルプス地方で開催される五輪を目指すと明言。新たな一歩を踏み出したアイスダンサーへの期待は大きい。

 木戸氏 アイスダンスはすごく時間がかかる種目なので、あと2、3年ぐらいは基礎的な練習を丁寧にやっていかないといけないと思います。アイスダンスの選手たちはその部分に心が折れてしまうケースが多いので、しっかり乗り切ってほしいですね。2人は伸びしろしかないし、将来的にも楽しみです。表現力があるので、完成したらものすごくいいものになると思います。