兄貴分のストイックな姿とは――。フィギュアスケートペアでミラノ・コルティナ五輪金メダルの〝りくりゅう〟こと三浦璃来(24)、木原龍一(33=ともに木下グループ)が28日に都内で開いた引退会見で、今後はプロとして活動していく意向を表明した。五輪2大会連続出場の鈴木明子さん(41)が取材に応じ、同じ拠点で練習してきた後輩・木原の努力を証言。ペアの第一人者として鍛錬を重ねた木原は、三浦とともに日本の歴史を大きく変えた。

 頂点に立ったことで決意が固まった。ミラノ・コルティナ五輪のショートプログラム(SP)は5位発進だったものの、フリーで会心の演技を見せて日本ペア初の金メダルを奪取。三浦は「積み重ねてきたものを信じてすべてを出し切ることができたので、すごくやり切った思いがあった。五輪が終わった時点で引退することも決めていた」と明かした。

 木原がペアを始めた2013年はカップル競技の注目度が低かった。シングルからの転向時は迷いがあったというが、10年以上の月日を経てペアの認知度を向上させた。鈴木さんは「すばらしい結果を残したのはもちろんだが、ペアが世の中に知ってもらえたことが一番の成果だと思っている。私の現役時代はペアがここまで注目される競技になる未来をなかなか思い描けなかったので、すごいことを成し遂げたと思う」と称賛した。

 三浦と木原は9歳差ながらも、抜群のチームワークで数々の快挙を達成した。鈴木さんは「木原くんは一生懸命頑張る性格だからこそ、みんなが力を貸してくれて、助けてくれたと思う。感謝を一度も忘れたことがないだろうし、本当にスケーターとしても人としても、すごく成長をして今に至るんだなと思う」と感慨深げに語った。

同じ記念撮影に納まる鈴木明子さん(左から5人目)と木原龍一(右端=2013年)
同じ記念撮影に納まる鈴木明子さん(左から5人目)と木原龍一(右端=2013年)

 長きにわたり海外で鍛錬を積んできた木原は、帰国時にかつてのホームリンクだった邦和みなとスポーツ&カルチャーで練習に励むこともあった。鈴木さんは「シングル時代に一緒にやっていたクラブで、体力的にキツくて、心拍数が上がるし、足もキツいスケーティングの練習があった。しんどいからみんなやりたくないけど、木原くんは志願してやっていた」と回想。

 三浦が「龍一くんと組んだ7年間はアスリートとしてだけじゃなくて、一人の人間としても成長することができた」と話すように、生真面目な姿勢が多くの人たちの心を動かした。

 これからの2人は指導者転身を見据えつつ、日本国内で演技を披露する機会を設ける予定だ。鈴木さんは「ペアを生で見る機会はなかなかなかったと思うので、ペアを目指したい子供たちが増えてくるだろうし、ペアが引き続き注目してもらえるきっかけになると思う。たくさんの人たちにペアの魅力を伝えてほしい」とエール。さらなる活躍に期待が高まるばかりだ。