阪神はDeNAとの「2025 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第3戦・DeNA戦(17日、甲子園)に4―0で完勝。3連勝で優勝アドバンテージ1勝を含めた通算成績を4勝0敗とし、2年ぶりとなる日本シリーズ進出を決めた。本紙評論家の伊勢孝夫氏は圧倒的な強さでセ5球団を退けた阪神を「球団史上最強のチーム」と論じた上で、巨人の黄金期を率いた伝説的名将と虎の現指揮官を重ね合わせている。
【伊勢孝夫「新IDアナライザー」】第1戦は近本の三盗が局面を動かし、ブルペン勝負で延長戦に持ち込んだ第2戦は最終的に森下の劇的なアーチで決着をつけた。そして、4番・佐藤輝が大一番で主砲としての責務をまっとうしたこの日の第3戦。終わってみれば阪神の強さばかりが際立つ3日間となった。
投打のバランスの良さに守備、走塁のキメの細かさも加味すれば、今季の阪神は球団史上最強と表現してもいいのではないか。1985年の吉田政権、2003年の星野政権、05年&23年の岡田政権と比較しても、今のチームは完成度が高い。
一口に監督と言っても、そこにはさまざまなスタイルがある。実戦での用兵を得意としてきた岡田前監督などは、私の恩師でもある三原脩監督(西鉄など)や野村克也監督(ヤクルトなど)に近い「野戦指揮官タイプ」だろう。
一方、就任1年目の藤川球児監督(45)をシーズンを通して見て、私が想起したのはV9時代の巨人を率いた川上哲治監督だ。
「哲のカーテン」と呼ばれた情報統制に編成への積極的関与。故障予防などを念頭に置いた管理野球的アプローチ――。少し思い浮かべただけでも共通点は多い。
そして何よりも、今季の藤川阪神も当時の川上巨人も、やっている野球そのものは〝退屈〟だった(あえて言葉を選ばずに表現すればだが)。驚きや意外性のある采配や起用は少なく、投打で充実した主力選手たちを全面的に信頼し、局面ごとを任せきるスタイルだ。
柴田―高田の1、2番にチャンスをつくらせ、王&長嶋による破壊力抜群のON砲で「平押し」してきた戦い方は、令和の阪神の近本→中野→森下→佐藤輝→大山の攻撃パターンをほうふつとさせる。
昨季から倍増した盗塁数を見ても分かるように、主力選手たちにはグリーンライトのようなある程度の裁量を与えているのだろう。だが、就任1年目から自身のエゴを極力抑え、選手たちを全面的に信じることはとても難しい。そこに藤川監督の指揮官としての器量が、いい意味で表れていたと私は考える。
インサイドワークにたけた坂本に扇の要を託し、12球団屈指の投手陣を存分にリードさせたことも藤川監督の大きな功績だ。佐藤輝、石井、村上、才木らには申し訳ないが、今季の阪神のMVPを一人選ぶなら、私も坂本の名を挙げる。=敬称略=
(本紙評論家)












