【取材の裏側 現場ノート】去就に注目が集まっていたWWEのスーパースター・AJスタイルズ(48)が2026年中の引退を表明した。14年4月から16年1月までは新日本プロレスのリングで棚橋弘至、オカダ・カズチカらのライバルとして活躍し、日本のファンからも愛されている選手だ。
数々の激闘を繰り広げてきた棚橋と同じ年に引退するというのも、何やら運命じみている。18年の「レッスルマニア」を現地取材した際、記者とのインタビューでも「俺がリスペクトしていて、いつかまたやりたいのが棚橋だ。ブリリアントでスマートな選手で、まるで日本のジョン・シナのようだからね」と語るほど認め合う関係だった。
引退を決めたタイミングで、AJに一つ聞いてみたいことを尋ねた。もしも棚橋が全盛期にWWEに行っていたら? 答えは明快だった。「すごい活躍をしたと思う。自分の子供もそうだけど、こっちにはアニメのファンが結構多いんだ。棚橋は髪形も含めてアニメのキャラそのものだからウケると思うし、彼はこの業界のことを深く理解しているので、絶対に成功していただろう」
若かりし日の棚橋にも、WWEに憧れを抱いた時期があった。「04~05年くらいでしたかね。タイミングがうまくハマらずっていう時期でした。僕も新日本でトップを取っていなかったので、まだまだどこも通用しないなと勝手に思っていて」と当時を振り返る。現実にはAJと同じ16年に棚橋の終生のライバル・中邑真輔が海を渡って大ブレークし、現在もWWEで活躍を続けているのだから、プロレスはつくづく大河ドラマだと思う。
個人的にはWWEの舞台で戦う世界線を見てみたかった気持ちも少しあるが、棚橋自身は築いてきた偉大なキャリアに一片の悔いもない。「後悔はないですね。新日本でこれだけ頑張れたし、他の選手がしっかり夢をかなえているので」。選手として、そして社長として団体と日本プロレス界をけん引し続けた棚橋は、まさに「100年に一人の逸材」と呼ぶにふさわしい。(運動部・岡本佑介)











