阪神は5日の広島戦(甲子園)に6―1で完勝。投打がかみ合った充実の戦いぶりで優勝マジックを「3」まで減らした。チームは最速なら7日の今カード第3戦(甲子園)で歓喜の瞬間を迎えることになるが、この日の虎のスタメンオーダーは〝今週末で全ての決着をつけたい〟という藤川球児監督(45)の固い決意がにじみ出ているかのようだった――。

 勝敗は事実上、初回の攻防で決した。
虎先発の大竹は立ち上がりを攻められ、自身の暴投で先制の1点を献上したが、その裏に猛虎打線が大奮起。無死二、三塁から森下が快音を左前に運び、あっさりと1―1の同点に追いつくと佐藤輝の四球をはさみ、なおも無死満塁。ここで打席に入った大山が相手先発・森の投じた初球の甘いチェンジアップを完璧に捉え、超満員の虎党たちを狂喜させる9号グランドスラムを左翼席にたたき込んだ。スコアは一気に5―1。試合開始10数分で戦局を完全に握った。

 猛虎打線の勢いはまだまだ止まらず、二死二塁で打席に入った大竹が三遊間をしぶとく割る左前打で6点目をゲット。無慈悲すぎる打者一巡の猛攻で相手左腕を火ダルマにし、優勝の可能性が完全消滅した新井鯉に引導を渡した。

 試合後の藤川監督は「本音を言えばこのままずっと(マジック)2か3のままでいかないかなと。非常に幸せな時間」と〝時よ止まれ〟とでも言わんばかりのえびす顔で、完勝劇の喜びに浸る。とはいえ、この日のスタメン表を見れば虎指揮官の今カードへの並々ならぬ思いが、その行間から伝わってくる。

 リーグ制覇が実質的に決定的なものとなった8月以降、藤川虎はナインのコンディション維持などを考慮してフルメンバーでスタメンを組む試合が明らかに減少。前カードの対中日3連戦(2~4日、バンテリン)では、カード第1戦で中野、同2戦で近本がベンチスタートとなっていた。

 同3戦では先発投手陣の消耗を抑える目的で、中継ぎ右腕のネルソンを先発させるブルペンデーという位置付けに。それでも右のエースセットアッパー・石井をベンチ入りメンバーから外す余裕すら見せていた。

 だがこの日の一戦は、近本→中野→森下→佐藤輝→大山ら令和黄金時代を象徴する〝虎5皇〟全員がスタメンに顔をそろえるフルメンバー。ブルペンにも岩崎、石井、及川らの主力中継ぎ勢を待機させる万全の陣容で、この一戦に臨んでいた。

 1950年の2リーグ分立以降、NPB史上最速で優勝を決定させたのは1990年に藤田監督率いた巨人の9月8日。今週末の日曜日(9月7日)までに藤川監督が宙を舞えば、過去75年間の歴史を塗り替える大快挙となる。

 早期Vを達成できれば、残り20試合弱を各選手のタイトル獲得のためのアシストや、ポストシーズンに向けた準備、出場機会の少ない若手選手の起用などに充てることも可能。〝ええことずくめ〟のスペシャルな1年だけに、ここまできたらひとつでも多くの名誉と勲章をもぎとりたい。