〝村神様〟はメジャーで通用するのか。故障で出遅れていたヤクルト・村上宗隆内野手(25)が17日の阪神戦(神宮)で今季初出場し、4打数1安打で9回の第5打席の途中で古傷の脇腹付近に異変を訴え、緊急交代した。今オフにはメジャー挑戦が有力視されるが、海を渡る際に何よりもモノをいうのはその時点での「鮮度と時価」。現状の評価はというと――。

 4―5と1点差まで追い上げ、なおも9回二死二塁。一打同点、一発が出ればサヨナラとなる絶好機で村上が打席に入ると、球場内のボルテージも最高潮に達した。だが、その直後に主砲の表情が苦痛にゆがんだ。

 相手左腕・岩崎が投じた外角高めへの直球を強振した際に脇腹付近を痛めたとみられ、村上は球審にタイムを要求すると一塁ベンチへ自ら交代を要求。高津監督も無念の表情で代打・赤羽を打席へ送った。

ベンチで苦悶の表情の村上
ベンチで苦悶の表情の村上

「脇腹の負傷は長引くし、治しようも鍛えようもないからな…」と心配顔だったのが、本紙評論家の伊勢孝夫氏だ。再度の長期負傷離脱となれば、今オフの米球界移籍にも悪影響を及ぼす可能性すらある。

 ヤンキース、ドジャースなどの名門球団から熱視線を送られている村上だが、伊勢氏は「今のMLBの先発投手陣は球速157、158キロくらいの球を当たり前のように投げてくる。しかも球筋のきれいな直球ではなく、微妙に揺れたり落ちたりする汚い球や。NPB投手のきれいな直球にすら手を焼いている今の村上がすぐに通用するかとなると、厳しいんとちゃうんか」と語る。

 米データサイト「ファングラフス」も「村上は変化球に対する優れた認識力と驚異的なパワーを持っているが、球速93マイル(約150キロ)を超える速球の打率は1割5分4厘にとどまっている」と指摘。高額契約締結のためには「明らかに改善すべき余地がある」と手厳しい。

 この日の試合でも、村上は虎バッテリーの直球主体の配球に苦戦。速球派で知られるビーズリーには2打席連続で空振り三振に倒れるなど課題を浮き彫りにした。

 一方で伊勢氏は「個人的な意見ではあるけど、村上よりも阪神・佐藤輝の方がメジャーで活躍できる可能性は高いかもな」とも語る。虎の背番号8は2―3の8回無死二塁で迎えた第4打席で、値千金の5号2ランをマーク。ホームランダービートップタイに立つなど、今季は春から好調を持続している。

「最近の佐藤輝は『抜け打ち』ができてるよな。タイミングがズレても、手元で小さく動く球がきても、前腕一本だけで捉えてスタンドへ運べとるよ。日本人には少ないタイプやな。汚い球が来ても、〝汚い打ち方〟で対応できるパワーがある。村上がそういう打ち方してるのは見たことないもんな。腕力や上半身の筋力は佐藤輝の方が強いんとちゃうか。外角の速球を反応で打っても、遠くまで持っていけるもんな」

 佐藤輝も昨オフの契約更改で、ポスティングシステムを利用した米球界挑戦を球団に直訴するなどメジャー志向は強い。NPBでの実績は村上の方がはるかに上。だが延長11回の死闘の末、7―5で阪神が勝利した一戦を最後まで見届けた伊勢氏は「今日のゲームを見る限りは佐藤輝の方が上やなあ」との認識を示した。

 現状では〝令和初の3冠王〟村上は厳しい評価を受けるが、どう巻き返していくのか。