ワールドシリーズ王者を「ボコボコに」したったわ! 阪神は16日に行われたMLB開幕シリーズのプレシーズンゲーム・ドジャース戦(東京ドーム)に3―0で完勝。「1番・DH」で先発出場した大谷翔平投手(30)に対する先発・才木浩人投手(26)のリベンジ投球が大きくクローズアップされたが、猛虎と二刀流怪物の間には、もう一つの〝遺恨〟も横たわっていた――。

 ナ・リーグMVP&打撃2冠王を完璧に封じ込め、サイ・ヤング賞左腕も打ち砕いた。何よりも、世界で最も強くリッチなチームを相手に投打で互角以上に渡り合った。親善試合とはいえ、マグレでは勝てない世界王者を下し「HANSHIN TIGERS」を全世界の野球ファンに印象づけた。

 この日のハイライトは、プレーボール直後に訪れた大谷の第1打席。2年前の2023年3月6日に行われたWBC強化試合、侍ジャパン―阪神(京セラ)で、才木が「ベストボールだった」と振り返った決め球のフォークを衝撃的な〝片ヒザ打ち〟でバックスクリーンに運ばれた。

 この日の対戦が決定した瞬間から雪辱に燃えていた右腕は、2ストライクまで追い込んでから決め球に選んだのはやはりフォーク。磨きをかけてきた内角低めへの〝魂の1球〟で空振り三振に仕留め、虎党たちの大喝采を浴びた。

 3回に訪れた2度目の対決では内角高めを厳しく突いた直球で中飛。完璧な形でリベンジに成功すると、5回1安打無失点、7奪三振の快投で勝利投手に輝いた。

 右腕を援護したのは4回に決勝3ランを放った佐藤輝。サイ・ヤング賞を2度獲得した大物左腕・スネルが投じた152キロ直球を「詰まっていましたが」と言いながらも、規格外のパワーで右翼席に放り込んだ。

 ロマンあふれる741日ぶりの逆襲劇。だが、その前夜に当たる「742日前」に大谷の口から発せられたある言葉が、実は〝虎の尾〟を踏んでしまっていたことはあまり知られていない。

 それは大阪市内で行われた侍ジャパンの決起集会。乾杯の音頭を取った際に飛び出した「まずは阪神をボコボコにしましょう」というセリフだ。

 大谷からすれば代表チームの大黒柱としてメンバーたちを鼓舞したかったに過ぎない。ところが、この一幕が大々的に報道されたことも相まって「そんなんオマエ、なんでそんな言い方をされなアカンのや!」と当時の一部球団上層部は激怒した。

「こっちはシーズン開幕前の貴重な時間を使って相手してやってるのに『ボコボコにする』ってなんやねん。ハッキリ言うておかしいやろ。なんでウチがワルモン役にならなアカンのや」

 すでに球界のスーパースターとなっていた大谷に対し、表立って反論できない状況は虎サイドからすればアンフェアに映った。声を上げようにも上げられず、行き場を失ったやりきれない感情はいつしか〝火種〟となってくすぶっていたわけだ。

 とはいえ、藤川監督が「互いに尊敬の気持ちを持って戦うことができた」と語った通り、すがすがしい熱戦を終えた今となっては全てがノーサイド。あらゆる因縁も遺恨も、グラウンドの上で消えたはずだ。