ソフトバンクの〝ロマン砲〟リチャード内野手(25)が12日の巨人とのオープン戦(みずほペイペイ)で待望の一発を放った。「7番・三塁」で先発出場し、6回にケラーが投じた甘いカーブを強振して左翼ホームランテラス席へ叩き込んだ。

 仕留める直前、顔付近への直球をよけて尻もちをついた。「腰の抜けたスイングだけは絶対しないように」としっかり踏み込んでフルスイングし「本当に一本出てよかったです」と安堵感をにじませた。

 昨季まで5年連続で二軍の本塁打王に輝き、今季で8年目。球界でも希少な「右の長距離砲」にかけられる期待は大きい。生まれ持った才能は確かにあるだけに、首脳陣は〝我慢の起用〟で覚醒を待っている。前日11日の巨人戦(長崎)では3三振。これまでにもふがいないパフォーマンスを見せた翌日に挽回のチャンスをもらってきた。

「誰が見ても『え?』ってなると思います。三振をしても、次の日も使ってもらって…。ひいきと受け取られてもおかしくない」

 そんなリチャードだけが抱える苦しみや焦りがある。この日の一発には強い決意と意地が詰まっていた。「(周りに)そういうふうに思われないように。そう思われてしまったら(チーム内のいろいろな)信頼が失われると思うんで。小久保監督の顔にも泥を塗ることになる」。思いが強くなるほど結果を出すことは難しくなる。そんな中でかけたアーチが持つ価値は計り知れなかった。

 正三塁手の栗原が11日の同戦で右脇腹を痛めて負傷交代。大事には至らなかったが、しばらく欠場する見込みで、リチャードの出場機会は必然的に増えるはずだ。開幕一軍、さらにその先の結果を求めて、ライバルとの競争と〝内なる戦い〟が続く。