15連勝は、勝敗表だけでなく球団の設計図までひっくり返した。レッドソックスは22日(日本時間23日)に行われた本拠地フェンウェイ・パークでのオリオールズとのダブルヘッダー第1試合を6―3で制し、1946年に並ぶ球団最長の15連勝を達成した。第2試合は1―5で敗れて白星街道こそ止まったが、52勝49敗でア・リーグ東地区3位。ワイルドカード争いでも3枠目を確保し、圏外のマリナーズに2ゲーム差をつけている。

 6月24日(同25日)の時点では32勝46敗。地区首位に15・5ゲーム差、ワイルドカード圏にも6ゲーム差をつけられ、8月3日(同4日)のトレード期限を前に「売り手」へ回る見方が強かった。ところが翌25日(同26日)以降は20勝3敗。破竹の進撃によって編成方針は、主力放出から戦力補強へ急旋回しつつある。

 その象徴がソニー・グレイ投手(36)だ。昨オフにカージナルスから獲得された右腕は当初、期限前に有望株へ換える「レンタル要員」とみられていた。しかし23日(同24日)時点で18試合に先発し、メジャートップの12勝を挙げて1敗、防御率2・48。101回3分の2を投げて90奪三振、28四球を記録し、チームも登板試合で14勝4敗と圧倒的な勝率を誇る。

ソニー・グレイ(ロイター)
ソニー・グレイ(ロイター)

 米メディア「ヤードバーカー」は23日(同24日)、今やグレイこそ契約延長の最有力候補だと指摘した。来季は3000万ドル(約49億2000万円)の球団オプションが設定されているが、球団が行使しても本人は拒否してFAを選べる。破棄された場合には1000万ドル(約16億4000万円)の買い取り金も発生するため、双方が納得できる大型契約を新たに結び直すことが、チームの上昇気流を一過性に終わらせない鍵となる。

 グレイの価値はマウンド上だけではない。15連勝が途切れた直後には内野の要であるコントレラスとともに、チャド・トレーシー暫定監督がミーティングを始めるより先にナインへ言葉をかけた。若手投手が増えたチームで、精神的支柱としても欠かせない存在になっている。

 そしてチーム内における「放出候補から必要戦力へ」という風向きの変化は、吉田正尚外野手(33)にも追い風となりそうだ。吉田は来季まで5年総額9000万ドル(約147億6000万円)の大型契約を残し、出場機会や守備面を理由に放出論が消えていなかった。

 だが15連勝中は、10日(同11日)のメッツ戦で先制2点二塁打を放ち、翌11日(同12日)には2試合連続の2打点となる3号2ラン。17日(同18日)のレイズ戦では4号ソロを含む3安打を放ち、サイクル安打まで三塁打を残す活躍を見せた。実際にMLB公式サイトも吉田が打ち続ける限り、年俸負担を軽くするためだけの放出は考えにくいとの見方を示している。

 もちろん、グレイも吉田も今後の働きが重要になる。だがポストシーズンを現実的に狙える位置まで戻った今、実績ある2人を手放す理由は薄れた。グレイを長期的な柱として囲い込み、吉田の打棒を終盤戦で生かすのか。奇跡の15連勝が塗り替えたのは今季の順位表だけではない。レッドソックスの未来図そのものだ。