中日は5日のオリックスとのオープン戦(京セラ)に8―2で鮮やかな逆転勝ち。7回から打線が目覚め、試合を一気にひっくり返したが、野球評論家・柏原純一氏は中田翔内野手(34)の打撃に「少し気になる」と首をかしげた。その打席の内容は――。

【柏原純一「烈眼」】オープン戦といえども、やはり「結果」がほしいのが本音なのだろう。プロ17年目を新天地・中日で迎えた中田翔のことだ。5日のオリックス戦(京セラ)で少し気になる打席があった。

 6回二死一、二塁。オリックスの新外国人・マチャドを相手にした3打席目だ。2球目までに追い込まれると3球目以降、明らかに単打狙いで右方向へおっつけるようなスイングで対応。スライダーを1球ファウルした後、4球目の内角154キロに完全に差し込まれ、一ゴロに倒れた。

 ネット裏から見ていて首をひねったのと同時に「もっとドッシリと構えて、やっていいぞ!」と、おせっかいなひと声をかけたくなってしまった。前を打つ細川は直前の場面でもしっかりとフルスイングで対応していただけに、直後の中田の姿が余計に〝こぢんまり〟と見えてしまった。

 もちろん意図は理解できる。局面的には2点差で、適時打で何とか1点は返しておきたい場面。巨人時代から彼はこの打席のように追い込まれると度々、内角球に対して逆方向を意識したスイングで、詰まりながらもしぶとく外野の前へと運んでいた。それも立派な技術だ。そんな〝引き出し〟を駆使してでも、何とかチームに貢献する一本を放ちたいと考えたのだろう。

 一方でまだオープン戦は序盤戦。少なくとも中田は開幕スタメンは約束された立場と推察する。ならば、もっと自分のことだけに集中して打席を使ってもいい時期だ。

 コーチと選手の間柄で一緒に戦った日本ハム時代の記憶で言えば、そもそも内角球には強い打者だった。懐に近い球でも、人並み外れたスイングスピードとパワーで強く引っ張り、飛ばすこともできる希少な存在。投手の立場から言えば、それが他の打者にはない中田の〝怖さ〟でもあった。

 立浪監督も中田に関して今、求めているのは「結果」ではなく「らしさ」だろう。オープン戦はこれで11打数1安打となったが、数字を気にする必要はない。開幕まで時間はまだたっぷりある。小手先に走らず、小さくまとまらず。まずは自分の一番の良さを出すことに集中してほしい。(野球評論家)