DDTの赤井沙希(36)が、12日の東京・両国国技館大会でリングでの戦いにピリオドを打つ。短期連載「リングに咲いた花」最終回は、デビュー10周年でたどり着いた「引退」の決断について――。
【リングに咲いた花(最終回)】DDT所属になってより充実した日々を送っていましたが、2020年から新型コロナの感染が拡大すると、プロレスという文化についていろいろ考えさせられました。先輩たちが守ってきた歴史が、思いもよらない事態でなくなってしまうんじゃないか、不安になったり。自分たちはすごく無力で、プロレスが存在する上でお客さんの大切さを改めて感じました。
そんな時期でもお客さんのためにできることとしてインターネットサイン会が生まれたり、私自身も会社にいろいろかけあったりしました。私がお客さんだった時、プロレスラーが頑張っているから私も頑張ろうって思ったり、立ち上がる姿を見て元気をもらっていたんです。不安な思いを抱えている人が多い時代だからこそ、自分たちの出番なんだって思えたし、すごく大切な期間でしたね。
そして今年、デビュー10周年を迎えた私が下した決断は「引退」の2文字でした。今でもプロレスが嫌いになったわけではないし、辞めたいと思ったことは一度もないんです。どこかでケジメはつけないとな、いつが一番美しいんだろうとは思いながらも、目の前のことに必死な日々を送ってきていました。
そんな折に海外のプロレスで2年契約の仕事のお話をいただいて。面白そうだなとも思ったけど、また2年たってから引退をどうしようか考えたら、もっと時間がかかってしまう。プロレスをやり続けられる幸せはあるけど、10年という節目で、まだ動けているうちに身を引くことが美しいんじゃないかなと。
このままずっと続けていくことを想像したら、ファン、DDT、プロレス界にとってもいいことじゃないなって。決して長く続けられている先輩たちのことを否定するわけではなくて、赤井沙希というプロレスラー像を完成させるならここだと思いました。プロレスを愛しているからこそ、DDTを大事にしているからこその決断でした。
5月に引退を発表してから、海外で試合をしたり、KO―Dのベルトにも挑戦させてもらったり、多くの団体に参戦させてもらったり、怒とうの半年間で本当にあっという間でした。引退を発表してからというものの、お客さんやスタッフの人が私の顔を見たら泣くんです。いろいろなことを思い出してもらったり、さみしがってもらってるんだと思うんですけど、私はそれが少し苦しかったりもするかな。人を前向きに、笑顔にするためにプロレスをやってきたのに、悲しい思いをさせてごめんなさいって。
引退試合に私の全てを込められるとも思わないし、1試合で集大成が出せるとも思ってないんです。最後だからって特別なこともしたくない。プロレスラーとしての毎日が非日常で幸せだったし、いつも一生懸命やってきました。だからこそ〝いつも通り〟頑張りたい。最後までプロレスラー・赤井沙希を見せたいと思っているので、しんみりすることなく笑顔で見届けてほしいです。














