「阪神には大山がいる。彼の背中を追いかけてさえいれば福島は大丈夫だ。何も問題ない」。日本シリーズ開幕直前に行われたドラフト会議で、阪神は白鷗大の福島圭音外野手(22)を育成2位指名。母校の英雄とも呼ぶべき大山悠輔内野手(28)に、同大野球部関係者は改めて全幅の信頼を示した。
阪神のチームスタッフいわく「責任感に手足が生えてきたような男」。虎の4番打者という極めて重圧のかかる役割を今季も見事に全うした。黄金ルーキーの3番・森下も「このチームは大山さんが打てなければ諦めがつくので」と虎の背番号3をリスペクトする。
「力んでは何度も失敗してきましたから」。責任感の強さゆえに、過去にはチャンスで硬さが出てしまうことも多かった。好不調の波が激しいタイプだっただけに、大山の打撃状態が落ちると、チームもろとも下位へ転落――。そんなシーズンを虎党たちは何度も味わった。
だが、今季の虎の4番はひと味違った。スロースターターとして有名な〝春の大山〟は3、4月に打率3割2厘を記録すると、その後も打撃成績を落とすことなくコンスタントに2割台後半の成績を維持。3番・森下、5番・佐藤輝がアップダウンの激しい打棒を見せるなか、文字通りの大黒柱として打線を支え続け、キャリアハイとなる打率2割8分8厘をマーク。得点圏打率2割9分4厘と勝負強さも際立った。
前出の白鷗大関係者は「今年の関甲新学生野球リーグを制覇した際には、特製の優勝Tシャツを大量に制作してプレゼントしてくれた。もともと周囲への気遣いができる人間だったが、結婚したことで、さらに精神的にも安定してきたのかな。それが今年の打撃にも反映されていると思う」と笑う。
堅忍不抜の4文字が誰よりも似合う28歳は、日本一を決めたシリーズ最終戦(5日、京セラドーム大阪)の9回の守備に就いた時点ですでに目が潤んでいた。「勝てて良かった。1年間の集大成。本当に良かった」。全てが終わった後、ダッグアウトで涙で声を詰まらせた。












