「残留濃厚」の空気を一変させるほど、シカゴの事情は切迫している。エンゼルスのマイク・トラウト外野手(34)を巡る移籍説が、再び火を噴き始めた。米有力紙「USA Today」のボブ・ナイチンゲール記者ら一部からは、トラウト本人がトレード拒否権を破棄してまでフィリーズなどへ移る可能性は低く、エンゼルス残留が基本線との見方も出ている。だが、シカゴの地元メディア「Chicity Sports」は3日(日本時間2日)、ホワイトソックスが今夏のトレード期限へ向け、トラウト獲得に動く可能性を大胆に指摘した。

 背景にあるのは、ホワイトソックスの予想外の快進撃だ。チームは1日(同2日)のツインズ戦に6―9で敗れて連勝が止まったものの、32勝28敗でア・リーグ中地区2位。同日時点で首位ガーディアンズとは1・5ゲーム差となっており、地区優勝、少なくともポストシーズン進出を現実的に狙える位置にいる。近年は期限前に売り手へ回るのが定番だった球団が、今年は「買い手」に転じる可能性が急速に高まっている。

 そこで浮上するのが、低迷するエンゼルスの象徴でもあるトラウトだ。エンゼルスは23勝38敗でア・リーグ西地区最下位。トラウトは今季ここまで打率2割4分2厘、出塁率4割1分、長打率4割8分8厘、14本塁打、31打点。四球57はメジャートップ、得点45はア・リーグ首位と、出塁力と長打力は健在だ。同メディアは米スポーツ専門メディア「ブリーチャー・レポート」の見立てを引用しつつ「トラウトがトレードされるなら、ホワイトソックスが最も理にかなう移籍先かもしれない」と伝えた。

 もちろん障害は小さくない。トラウトは2030年まで契約を残し、その年には38歳。本人の同意なしに話は進まず、「移籍なし」と見る声が根強いのも当然だ。ただし、ホワイトソックス側には動く理由がある。頼みの綱だった村上宗隆内野手(26)は右ハムストリングの負傷でIL入り。今季は57試合で打率2割4分、20本塁打、41打点、OPS0・938と鮮烈な数字を残していただけに、4~6週間の離脱は打線に痛恨だ。

 村上が戻るまで持ちこたえるだけでなく、戻った後に勝ち切る布陣をどう作るか。ホワイトソックスが本気で秋を見据えるなら、看板選手級の補強を夢物語で終わらせる必要はない。トラウト残留の見立てはなお有力。それでも、村上離脱とシカゴの躍進が重なった今、あり得ないはずの名前が市場の中心に浮かび上がってきた。