日本高校野球連盟は22日に、31日から台湾で開催される「第31回WBSC U―18ベースボールワールドカップ」に出場する18歳以下の高校日本代表メンバー20選手を発表した。

 選考においては、現在開催中の「第105回全国高校野球選手権大会」で活躍中の慶応・丸田湊斗外野手(3年)や仙台育英・高橋煌稀投手(3年)らが順当に選出。花巻東・佐々木麟太郎外野手(3年)、広陵・真鍋慧内野手(3年)、九州国際大付・佐倉侠史朗内野手(3年)ら長距離打者の招集は戦略的に見送られた。

 注目は甲子園出場を逃した横浜・緒方漣内野手(3年)で、代表を率いる明徳義塾・馬淵史郎監督(67)の緻密な戦術を体現するキーマンとして大きな期待がかかる。

 この夏、苦い思いをした球児の一人だった。1年生から名門・横浜の正遊撃手を務め、プロも注目する逸材。今夏、横浜は慶応と激突した神奈川大会決勝で2点リードの9回無死一塁から二ゴロ併殺を狙ったプレーで、遊撃手の緒方が二塁ベースを踏んでいないとジャッジ(記録は失策)され、その後に逆転3ランを浴びて甲子園出場を逃した。微妙な判定が高校野球の枠を超えて大きな波紋を呼び、失意の横浜ナイン、当事者となった緒方を思いやる声は、プロ野球の現場などにも広がっていた。特に才能豊かな緒方のプレーの意図を理解し、今後の成長を願うプロ側の温かい思いは多かった。

 世界一を目指す馬淵ジャパン選出の舞台裏はこうだった。選考過程では今大会の活躍度を重視。甲子園大会に出場していない緒方は一次候補からの抜擢となったが、選考委員を務める甲子園優勝経験のある元指導者らから強い推薦を経ての選出だった。

「国際大会を勝ち抜く上で高い守備力を有し、複数のポジションを守れる内野手で、かつ、打撃でのしぶとさが高く評価された」(大会関係者)。馬淵野球にフィットする申し子的存在としての期待が込められた選考だった。

 代表を率いる名将・馬淵監督は「昨年ワールドカップを経験させてもらい、改めて日本の勝機は投手を中心とした守りと走力を最大限生かした緻密な野球の実践にあると実感しました。選考委員の方には私が目指す野球を十分に理解してもらい、最終的な20名を選考していただきました」とコメント。かつて「たとえ無安打でも勝つ野球をやる」と自身の野球観を語ったこともある馬淵監督。そのためには相手のスキや弱点を突き、パワー野球をしのぐ緻密な野球を実践できるユーティリティー性の高い選手は必須。特色ある選考の一つとなった。

 失意を味わった忘れられない夏、緒方に再び熱い戦いが巡ってきた。日本一はかなわなかったが、日本にとって悲願の世界一を奪い取りに行く――。