【米ニューヨーク28日(日本時間29日)発】海の向こうから送られたエッジの効いたエールは、強い絆の証しだ――。メッツ・千賀滉大投手(30)は、メジャー挑戦1年目のシーズンで上々のスタートを切った。理想の投球を求めて葛藤しながらも、ここまで3勝1敗とチームの勝ち頭として先発陣をけん引している。異国での新生活、自分のことだけでも精一杯という毎日が続いているが、どうしても気になって仕方がない存在がいる。

 かねて結果が出ている時は互いに何も語らず、悪い時は思いっきり叱咤激励する仲だった。今月上旬のこと、ソフトバンク関係者も事実を知って驚いた出来事があった。球団公式のインスタライブ中に海の向こうから投稿されたフレーズは愛にあふれていた。「柳田はよホームラン打てて」。現地ニューヨークでは日付が変わった深夜帯の投稿。それは紛れもなく千賀本人が発信したものだった。
 
 それから2週間後の今月22日(同23日)、エールを送られたソフトバンク・柳田悠岐外野手(34)は今季17試合目、72打席目にして待望の第1号を放った。そして、27日(同28日)の日本ハム戦の延長10回に「長谷川コーチに『ぶった切ってこい』と言われたので、そのイメージでいきました」(柳田)と3階席に突き刺す決勝の2号3ランでチームを勝利に導いた。

「見た、見た! 見ましたよ!」。まだニューヨークではなかなか見せることのない心の底からの笑顔が弾けた。柳田が1号を放った翌日には「おっそ!」と千賀節で祝福していたが、この日は延長戦で試合を決める正真正銘のヒーローということもあり、自分のことのようにうれしそうだった。

 2010年ドラフトの同期入団。高卒と大卒で年齢は4つ離れているが、年の差を感じさせない仲の良さで唯一無二の盟友として互いを認め合ってきた。投手と野手ながら、2人だけで食事によく出かける稀有な関係だった。「柳田はよホームラン打てて」の真意は、言わずもがな叱咤と期待を込めてのエールだった。海を渡ったからこそ、これまで以上に刺激的な活躍と困難な時にチームを鼓舞する大黒柱としての存在感に注目している。「あの人は(用件を)LINEするような男じゃないですから、(アメリカにも)電話がかかってきます」。いつだって突然かかってくる電話には、今も必ず速攻で反応する。

 毎年優勝を宿命づけられたソフトバンクの「エース」と「主砲」として、2人だけにしか分からない重責を背負ってきた。尻を叩き合って成長してきた貴重な戦友は、今もこれからも気になる存在だ。柳田は開幕から20試合、リーグトップの打率3割5分8厘、2本塁打、9打点、驚異の出塁率5割、得点圏打率3割3分3厘をマーク。ついに一発が出始め、千賀の〝ぶった切りエール〟がしばらく封印されそうな勢いだ。

 長いシーズンは山あり谷あり。この先、どんな電話がかかってきて、どんな発信がされるのか。お互い、見られている――。代わりがいない、なくてはならない存在だ。