第5回WBC1次ラウンドB組の日本は初戦の中国戦(9日、東京ドーム)に8―1で幸先よく白星発進した。大谷翔平投手(28=エンゼルス)は「3番・投手兼DH」で先発出場し、投げては4回を49球でまとめて打者13人に対して1安打、5奪三振、無四球で無失点と好投。打っても2点二塁打を含む2安打2四球でWBC初安打、初打点、初勝利を飾った。本紙評論家の前田幸長氏は「大谷は投打とも心配な点はない」と分析し、今大会の侍ジャパンは「実質的に大谷ジャパン」との見解を示した。
【前田幸長・直球勝負】6回終了時点で2点差と予想外に重苦しい展開になりましたが、国際大会で何より大切なのは勝つこと。4番に座った村上(ヤクルト)は大振りが目立ち、第1打席で四球は選べたものの安打が出なかったのは少し心配ですが、どうしても硬くなってしまう初戦ということを考えれば上々のスタートでしょう。
やはり目立ったのは大谷です。いきなりリアル二刀流での出場で投げては4回無失点、打ってもマルチ安打で2打点とスケールの違いを見せつけてくれました。49球の内訳はスライダー26球に最速160キロの直球が22球でスプリットが1球。自己最多の15勝を挙げた昨季もスライダーの割合が30~50%だったことを考えれば、今年も軸になるのはスライダーであり直球なのだということでしょう。今大会に限らず、シーズンを見据えてた上でも心配はないという印象です。
打者・大谷もしかり。初回一死一、二塁の好機ではしっかり見極めて四球を選びましたし、1―0の4回一死一、三塁の場面では低めのボールを逆方向にはじき返すフェンス直撃の2点二塁打でチームに待望の追加点をもたらしました。
2回二死満塁の第2打席ではボール気味の球に手を出して遊ゴロに倒れましたが、打ち取られた低めに目つけができていたからこそ、3打席目の二塁打につながったのだと思います。修正や学習能力という点でも優れた選手であることを再認識させられました。
栗山監督は8日の会見で大谷を初戦の先発に起用した理由を聞かれた際に「今は勘弁して」としつつも「大事な試合は大谷翔平で行く。それだけです」ともおっしゃっていました。投打二刀流の〝生みの親〟で、性格や底力を知り尽くす指揮官が大谷を投打の主役として戦略を練るのは自然な流れ。順当に1次ラウンドを突破できたら、中6日で16日の準々決勝、日本時間22日朝の決勝を大谷に託す構想は想像できます。
ここまでの大谷の言動からも本人の覚悟と自覚はうかがえます。自身のインスタグラムなどで積極的に情報発信し、中国戦後のヒーローインタビューで「本当にこれだけ夜遅くまで、最後まで残っていただいて感謝しています。ただ、まだまだ足りないので、明日はもっともっと大きい声援でお願いします」とファン心理をくすぐったり…。不可能を可能にしてきた千両役者なら、きっと侍ジャパンを3大会ぶりの世界一に導いてくれることでしょう。
(本紙評論家)












