トップ2による青空会談が開催されるほど順調だ。昨年、右アキレス腱断裂の重傷を負ったソフトバンク・上林誠知外野手(27)に熱視線が注がれている。宮崎キャンプは万全の状態で主力組に合流すべくB組スタートとなったが、初日から別格の輝きを放っている。
生目の杜運動公園サブ球場の右翼フェンス後方には高さ約20メートルの防球ネットがある。2日のフリー打撃では、力をセーブして軽く振った打球があわや場外弾となるシーンも。これには本人も「うれしい誤算です」と思わず笑顔がはじけた。リハビリ中の肉体強化で現在の体重は負傷前から7キロ増えて90キロ。持ち前の長打力に磨きがかかっている。
「この2日間は周りから何も言われていない。ということは動きに違和感や問題がないという証拠」。この日は藤本監督がサブ球場を訪れ、小久保二軍監督と意見交換する場面もあったが、第3クールから始まる紅白戦をめどに上林を昇格させる確認のためだった。
誰もが完全復活を切望しているが、とりわけ上林への期待感が大きいのは、入団時から目をかけ続ける王球団会長だ。この日も「アキレス腱を切ったりしたけど、技術的にはだいぶ上がってきている。やっぱり(チーム編成を考えても)彼の長打力に期待している」と、A組メンバーを押しのけて注目選手に指名。宮崎入り前には直接「(シーズンを棒に振った)去年の分も倍返ししような」と声をかけられた上林は「苦しい時に気にかけてもらって、余計に力になる。会長のためにも、もうやるしかないという気持ち」と恩返しを誓う。
勇気をもらった偉大な大砲には、完全復活の誓いを立てた。先月下旬、球団OBでプロ野球歴代3位の567本塁打を放った門田博光さんが亡くなった。「タイミング的に感じるものがあった。昨日(1日)黙とうをささげた時に、面識はありませんが、心の中で見守っていてくださいと言ったんです。それは門田さんが残してくださった足跡が背中を押してくれているからです」。門田さんは1979年に右アキレス腱断裂。翌年に41本塁打をマークするなど、大ケガを克服した後に386本のアーチをかけた。上林の完全体は「走れる大砲」。不安や後ろ向きな感情を一掃して春のキャンプに打ち込む姿は、系譜を受け継ぐ男の所信表明でもある。
大型補強を敢行した中で、鷹の最激戦区とされる外野手争い。大まくりの予感が漂ってきた。












