【FIFAワールドカップ】森保ジャパンの背番号10は最後まで輝けなかった。MF南野拓実(27=モナコ)はPK戦で重要な最初のキッカーに名乗り出たが失敗。本紙担当記者が目の当たりにした10番の無念の姿とは――。

【日本代表ドキュメント ブルーサムライ出陣】「16強の壁はこんなにも高いのか…」。敗退の瞬間、日本代表担当記者の渡辺はアルジャヌーブスタジアムの記者席でぼうぜん自失となった。

 その視線の先に飛び込んできたのが、10番を背負う南野が涙に暮れる姿だ。この日は1―1で迎えた後半42分にMF堂安律(フライブルク)と代わってピッチへ。しかしチャンスをつくれないまま120分が終了し、PK戦へと突入した。

 するとここで、控えに甘んじてきた南野に今大会一番の見せ場がやってくる。立候補制となったPKキッカーで1番手を志願。ここで日本に流れをつくりたかったが、右足のキックはコースが甘くGKドミニク・リバコビッチ(ディナモ・ザグレブ)に止められてしまった。背番号10の失敗で相手に流れが傾くと、日本は続く三笘、4人目の吉田と3人が失敗して万事休す。結果的に南野がPK戦の行方を大きく左右することになった。

 試合後、南野は取材エリアで報道陣から何度も呼び止められながら一言も発することなく立ち去った。異例の“取材拒否”は「10番の責任を果たせなかった無念の気持ちからなのだろうな」と渡辺は思った。

 南野の心情を代弁したDF長友佑都(FC東京)は「PKを外してしまった拓実が泣いていた。勇気を持って蹴ったことを僕は称賛した。彼は強いなと。彼は自分から手を挙げて『蹴る』と言った。その勇気というものを僕は誇りに思うし感謝したい」。PKの失敗は責められない。4年後のリベンジを渡辺は期待した。