【氷上の絶対王者を大解剖(1)】北京五輪で3連覇を狙うフィギュアスケート男子の羽生結弦(27=ANA)が躍進し、話題を集めたのはディズニーの人気キャラクター「くまのプーさん」だ。いまや切っても切り離せない間柄。新型コロナウイルス禍以前に定番だった〝プーさんシャワー〟の起源や経緯などをクローズアップする。

 本番直前の緊迫したリンク。その脇から優しい顔で見守るプーさんのティッシュケースに手を当て、戦いへ挑む――。そんな演技前ルーティンが出来上がるほど、羽生はプーさんを愛してやまない。この関係性はファンの間でも認知され、今では観客がプーさんグッズを身に着けて応援するスタイルが主流。2021年グランプリ(GP)シリーズのロシア杯では羽生が不在の中、プーさんが描かれた応援バナーが掲げられていたほどだ。

 2019年秋には「はちみつ」の代わりに冬の果物「柚子(ゆず)」を抱えるプーさんの新シリーズ「Yuzu Pooh(ゆずプー)」が発売されて大人気。「ゆず=ユヅル」を意識したものかと思われるが、ディズニーショップ関係者は「決して便乗ではありません」と否定。それでも「ネーミングに気づいて(羽生を)イメージして買われるお客さまは多いです」と反響は大きかったようだ。

 コロナ禍の前は、羽生の演技後、プーさんのぬいぐるみなどが氷上に投げ込まれるのが定番だった。この〝プーさんシャワー〟の起源は14年のグランプリ(GP)シリーズ中国大会。そこから徐々に規模が拡大し、銀盤がプーさんで埋め尽くされ、黄色一色になる光景は海外メディアも大きな衝撃を受けたようで大々的に報道された。

 現在は感染対策により投げ入れできないが、実は禁止となったのはコロナ禍の直前、19年12月の全日本選手権前のこと。突然公式サイトで「花束・プレゼントの投げ込みは、競技進行の都合およびお客さまの安全確保のため禁止とさせていただきます」と発表された。一部ファンのマナー違反や運営上の問題による判断だった。

 20年2月の四大陸選手権(韓国)では〝プーさんシャワー〟が復活したが、すぐにコロナの感染拡大によって再び中止。当時、会場のプレゼント販売業者は「売り上げは100分の1以下ですよ」と嘆いていた。

 では、羽生の3連覇がかかる北京五輪ではどうか。中国国内では「プーさんが習近平国家主席が似ていると」との理由で検閲対象になるといわれるが、中国籍のフィギュア関係者は「誰かが面白く話したゴシップネタが広まっただけ。観客にプーさんが規制されるはずがありません」と問題なしと語っていた。

 その一方、羽生自身は五輪競技場へのプーさん持ち込みを自主規制する可能性が高い。五輪憲章では協賛企業以外のロゴや広告が厳しく取り締まられるためだ。実際、18年平昌五輪ではプーさんの代わりにケーキのティシュケースを準備。スポンサーの関係で愛用品を持ち込めなかったと語っている。