パ2位の日本ハムがシーズン佳境を迎える中、首位・ソフトバンクの〝天敵〟リバン・モイネロ投手(29)の攻略に着々と手ごたえをつかみ始めている。チームは9日の本拠地・ソフトバンク戦(エスコン)で今季7試合0勝4敗、防御率0・87と完璧に封じこまれていた苦手投手・モイネロと8度目の対戦。自軍相手に今季初黒星をつけ、鷹との直接対決に7―4で勝利しゲーム差を「3」に縮めた。試合前から徹底していた難敵攻略の秘策とは一体何だったのか――。

 序盤2回までファイターズ打線は過去の対戦通り、相手左腕の投球術にハマって得点を奪えなかった。しかしながら意地を見せたのが、3点ビハインドで迎えた3回からの怒とうの反撃だった。

 水谷とこの日2番に抜てきされた今川の連続二塁打で宿敵左腕から7月29日以来となる得点を奪うと、その後の無死一、三塁では郡司の左犠飛で加点。1点差に詰め寄った4回にはルーキー・山県の2号ソロで同点に追いつくと、5回には今川の今季1号ソロで逆転に成功した。6回にも山県の2打席連発となる3号2ランなども飛び出し、モイネロをマウンドから引きずり降ろした。

 これまで1試合で1点すら奪うのが困難だった難攻不落の左腕から6回までに、まさかの7得点を奪取。モイネロに来日9年目で自己ワーストとなる3被弾&1試合7失点の大ダメージも与え、自軍との対戦で今季初めて土をつけた。

 この〝快挙〟にはベンチで見守った新庄剛志監督(53)も目を細めるばかりだったが、モイネロ攻略の裏にはチームの捨て身の戦略があった。それは長打が持ち味の打者を打線に並べ、全員がイチかバチかの一発を狙う「長打攻勢」だ。ある首脳陣の一人がこの日の試合前、秘策をこう明かしていた。

「モイネロはそう簡単に打てない。だから思い切って(全選手が)ホームランを狙おうと。ヒットを並べてもなかなか点は入らないので、それなら(球場が狭い)エスコンの特性を生かしてラッキーパンチでもいいから一発、長打を狙った方がいいと。ウチ(日本ハム)はホームランを得意としている打線でもあるから、思い切って割り切っていく。これしかないからね」

 チームは今季、モイネロ攻略に向けあらゆる策を試行。バントを含めた小技で揺さぶる戦法や全打者が狙い球を絞り、球数を投げさせる〝待球策〟も試みた。だが全て結果が伴わず、チームは万策尽きた状態だった。その最中での大胆策の成功だけに意義は大きい。

 この日の勝利でも、ソフトバンクとのゲーム差はまだ「3」。日本ハムの劣勢は否めないものの、苦しみ抜いた末の難敵攻略は今後のホークスとの戦いでもナインに大きな自信となるはずだ。奇跡の逆転Vは、まだ諦められない。