【球界こぼれ話】「一体、どうしちゃったんだろうね」。日本ハムの新庄剛志監督(53)が8月ごろから好投するたびにこう評する投手がいる。中継ぎとして救援陣を支える上原健太投手(31)のことだ。
今季プロ10年目を迎えた191センチの大型左腕は、2015年のドラフト1位で日本ハムに入団。即戦力の先発として期待されたが、思うような結果を残せず低迷した。
22年から打撃力を買われて「投打二刀流」に挑戦したものの才能は開花せず。新庄監督がチャンスを与えても悪癖の制球難を克服できず、今季序盤までチームの戦力には程遠い存在だった。
だが、中継ぎに転向し、7月から登板を重ねると好投を連発。今月2日ロッテ戦(ZOZOマリン)でのプロ初セーブを含め、7日まで20試合連続無失点を記録するなど今やチームに欠かせない救援投手に成長した。
新庄監督から「常にど真ん中にストレートを投げればいい」と言われ続けながらストライクが入らず四球連発で自滅していた上原。なぜ左腕は救援で好投できるようになったのか。
この点を本人に聞くと「どれが正解かはよく分かりませんが…」と苦笑いを浮かべながらも「技術的なところで言ったら『ストライクを取りたい』から『強いボールを投げたい』に意識が変わったところが大きいのかもしれません」とこう続けた。
「僕は正確なコントロールで勝負できるような投手ではない。だから昨年までは『ストライク先行でいこう』『ストライク以外はいらない』という意識でマウンドに上がっていました。でも今は『とにかく力強い球を投げること』を考えています。自分の投げるリズムとタイミングが合わないと強いボールは投げられない。それができると自然にボールがストライクゾーンに行く。その結果なのかもしれません」
さらに力強いボールを意識することで思わぬ副産物も得られたという。
「ボールの威力が強くなると少々のボール球でも(打者が)手を出してくれるので。そうすると変化球も生きてきて、ストライクゾーンじゃないところでも勝負ができる。これは想像以上でしたね」
長年の不本意な成績もあり「昨オフは本当に戦力外を覚悟した」という。
「30歳を超えて選手としての先が見え始める中、チームも強くなり下(の選手)も次々に(一軍に)上がってくる。だから1登板、1登板を悔いがないようにしよう、と。そう思い始めたらマウンドでも迷いがなくなりました。まだ野球、やりたいですからね」
崖っぷちから見事な復活を遂げた31歳。悲壮な決意で臨んだ今季の活躍は決して偶然ではない。












