全日本プロレスの前3冠ヘビー級王者ジェイク・リー(33)が、新日本プロレスの「アメとムチ」を正面から受けとめた。16日に東京・後楽園ホールが60周年を記念して開催した「還暦祭」メインでは、対戦相手の棚橋弘至(45)から新日本マット参戦を提案され、パートナーのタイチ(42)からは厳しいゲキを飛ばされた。業界盟主のトップ選手たちの言葉に、ジェイクは――。

〝プロレス・格闘技の聖地〟のメモリアル興行メインでジェイクはタイチと組み棚橋、宮原健斗組と対戦。30分ドローの激闘の末に棚橋から「新日本に上がって来いよ」と提案された。

 ともに旗揚げ50周年を迎えた両団体の交流継続は望むところ。ジェイクは「同じ土俵には立ててないと俺は思ってて。全日本と新日本はそれだけ差がある。けど、そんな中でも、そっちのほうが今のプロレス、もっと盛り上がるんじゃないのって」と語る。

 だからこそ、棚橋の〝勧誘〟は大きな意味を持つという。「あの日は新日本の選手がたくさん出ていて『この人ともやってみたいな』と、いろんな思いが混じる一日だったので。もっと自分の力を試してみたい、一プレーヤーとして。チャンスがあれば? もちろん。いつでも行きます。自分が行くことで、もっと盛り上がると思ってます」

 その一方でタイチからはリング上の実力は認められながらも、SNSのフォロワー数の少なさなどを指摘され「今の全日本プロレス、世間に全く響いてねえんだよ」と酷評された。全日本OBならではの〝愛のムチ〟を、ジェイクは「本当その通りだと思うんですよ」と全面的に認める。

「選手は選手でこうすればもっと面白くなるって思いがおのおのあるし、スタッフにもそれぞれ思いがある。それが合致してないというか、空回ってる。今こそ選手、スタッフ一丸になってやるべきところに来てるんじゃないのかなと。そのためにも(自分が)突出しないといけない」と偽らざる心境を明かした。

 収穫の手応えを感じると同時に、課題もより明確になったことで開催中の春の祭典「チャンピオン・カーニバル」連覇への思いを強めた。

「ベルトは返上したもので、誰かに負けて渡したものじゃないので。挑戦権を得て取り戻しにいく」と優勝後に宮原の持つ3冠王座奪還を予告。「もっと面白くなれるなって確信に変わった。俺のやってきたこと、積み重ねてきたことは間違ってなかったから、もっと自信持っていくかってところですね」と豪語した男が、王道マット再建と業界活性化という2つの目標を胸に突き進む。