楽天・田中将大投手(32)のNPB再アジャストのカギはストレートの質となりそうだ。8年ぶりに古巣復帰した田中将はここまで順調に5度のブルペンをこなし20日に復帰後初の実戦登板となる日本ハム戦(練習試合=金武)のマウンドに上がる。

 全体練習のなかった19日、田中将は登板予定の投手らとキャッチボール、ダッシュ、ランニングなどで最終調整を行った。昨年まで名門ヤンキースのローテーションを守りバリバリの状態で帰還したエースの登板にはいやが応にも期待が高まるが、見る側は田中将のどこに着目するべきか。

 高校時代から田中を調査するメジャー関係者の一人は「全てはストレート次第」とし、不安と期待をこう表現した。

「米国で通用して日本で通用しないものもあれば、その逆もある。その代表例はスピードボールに対する打者の対応。96マイル(約155キロ)を超える速球にも普通に対応してくる米国に対し、日本ではそれが圧倒的な武器になる。今の田中はおそらく常時93マイル(約150キロ)が出るかどうかの投手。ヤンキースでの昨年は平均球速が92マイル(約148キロ)程度に落ちていた。それでも向こうの打者はスプリットを振ってくれる。対して球速が圧倒的だった時期より落ちて日本の打者がそれを見極めてくる場合、田中が何を武器に戦うのか興味がある。どう〝日本モード〟に切り換えてくるのか。そのカギは彼の精密なコントロールにあると思う」

 17日のブルペンでも両打席から田中の投球をチェックした小山投手コーチは「変化球は最初のころから制球できている。あとは真っすぐの力強さ。まだ本人は納得できない部分が多いと思う」と求めるストレートの質に言及していた。

 田中本人も「(課題は)自分が確認したいことをすればいいかなと。ボールをしっかり制球できるかどうか。そのためにはいいフォームで投げなきゃいけない。一番は真っすぐですよ」と語っている。

 20日の日本ハム戦では今の田中のストレートに打者がどう反応してくるか。まずはそこがチェックポイントとなってくる。