勝利のリズムは、バットではなくミットからも生まれている。現在セ・リーグ3位につける巨人は17日のDeNA戦(東京ドーム)に1―0で競り勝ち、2季ぶりの6連勝を飾った。原動力の一つが、例年以上に激しさを増す捕手陣の競争だ。
打撃好調の大城卓三捕手(33)はここまで打率3割1分1厘、4本塁打、11打点と完全復活を印象づけ、6連勝中の5試合でスタメンマスクを任された。一方、6連勝目のDeNA戦では岸田行倫捕手(29)が先発。初回二死一、二塁から左前適時打を放って決勝点を挙げ、ドラフト1位ルーキーの竹丸和幸投手(24)を6回5安打無失点に導いた。
ベンチには経験豊富な小林誠司捕手(36)が控え、二軍にも甲斐拓也捕手(33)、山瀬慎之助捕手(25)らが待機する。層の厚さは、そのまま正捕手争いの厳しさを物語っている。象徴的だったのが山瀬だ。強肩を武器に一軍昇格後はプロ初本塁打も放ち、打撃面でも成長を示した。だが、先発出場した4試合はいずれも黒星。阿部慎之助監督(47)から「勝てる捕手」を目指すよう促され、再び二軍調整となった。数字だけでは測れない捕手の価値を、首脳陣が厳しく見極めている証しでもある。
では、今季の阿部巨人が掲げる「勝てる捕手」に必要なものは何か。実松一成バッテリーコーチ(45)は「一番は投手に信頼してもらえるってところが大前提」と強調する。鍵を握るのは配球以前の対話力だ。「出ていないときでも会話はできる。投手はマウンドで常に孤独。リラックスして投げさせるために何をやるかを突き詰めないといけない」と説く。
サインだけで投手を動かす時代ではない。ジェスチャー、声掛け、間の取り方、ベンチでの会話。捕手ごとにアプローチは違い、正解も一つではない。実松コーチも「同じことをやっていてもダメ。ポジションは一つしかないが、互いにいいものを吸収しようとしている」と競争の相乗効果を認める。
大城の打力、岸田の勝負強さ、小林の経験、そして二軍で牙を研ぐ甲斐、山瀬。巨人の6連勝は、単なる勢いだけで積み上げられたものではない。投手の孤独を受け止め、勝利へ導く捕手たちの細やかな技術。その見えにくい争いこそ、阿部巨人を上昇気流に乗せている。













