阪神・大山 初の本塁打王へ冬の北風〝六甲おろし〟が後押し

2020年10月12日 11時00分

25号2ランを放った大山

 阪神・大山悠輔内野手(25)が11日のDeNA戦で決勝の25号2ランを含む3安打2打点をマーク。4―3の勝利に貢献するとともに、セ本塁打王争いのトップを走る巨人・岡本にも再び並んだ。打点も現在リーグ4位の68としており、2冠獲得も現実味を帯びてきた。シーズン残り24試合、最終戦まで激しいタイトル争いが繰り広げられることが予想されるが、本拠地・甲子園球場にはそんな背番号3の背中を力強く押す、文字通りの“追い風”が吹くという。

 1点ビハインドの5回、一死一塁で打席に入った大山は、カウント2―2まで追い込まれながらも相手先発・上茶谷の投じた6球目の甘いスライダーを力強く一閃。勢いよく伸びていった打球は「甲子園の一番深いところ」と呼ばれる左中間スタンドにあっという間に着弾する、値千金の逆転決勝2ランとなった。球団生え抜き選手による25号到達は、2005年の今岡(現ロッテ二軍監督)以来15年ぶりとなる快挙だ。

 会心の一打について、大山は「何とかしようという気持ち、必死さが(結果に)つながった。自分のスイングができるよう、しっかり振り切れるように意識した。チームの勝利のために必死でやれば(タイトルなどの)結果はついてくると思う」。矢野監督も「もっともっと(チームにとって)大きな存在になってほしいし、悠輔も同じ思いだと思う。昨季に比べ、打てるポイントが増えてきているのが大きな成長だと思う」と称賛。着実な成長を見せる背番号3の雄姿に目を細めた。

 日本屈指の「ホームランが出にくい球場」として知られる甲子園球場を本拠地として戦う阪神は、1986年にランディ・バースが本塁打王を獲得(47本)して以降、長らく同タイトルとは無縁のまま。91年にラッキーゾーンが撤廃されて以降、シーズン30本塁打に到達できた生え抜き選手すら皆無だ。だが、そんな聖地・甲子園球場には今からの季節、右の長距離砲・大山にとって文字通りの“追い風”が吹くことになる。甲子園に吹く風として有名なのは、通常のプロ野球開催時期に右翼から左翼方向へ吹く「浜風」だ。左打者泣かせの風として知られるが、右打者にとっても決して有利な風ではない。

 だが、通常ならばペナントレースも終了している10月下旬ごろから甲子園に吹く風は、球団歌の愛称としても虎党におなじみの「六甲おろし」だ。神戸地方気象台の担当者は「六甲おろしとは、甲子園球場から見て北西に位置する六甲山から、南東方向へ吹き降ろしてくる冬の北風の通称です。吹き始めるのは晩秋と呼ばれる10月下旬ごろからになりますね」と本紙の取材に対して説明。北西から南東の風。これを甲子園球場に当てはめると、まさに本塁から左翼席方向へ吹く、右打者にとって理想的な「ホームラン風」となる。

 昨季に比べ、右方向への本塁打も増えている大山だが、今季ここまでマークした25本の本塁打のうち、過半数の15本が左翼方向へのアーチとなっている。今季は残り14試合が甲子園で開催されるだけに、本塁打王争いを戦う大山にとって力強い“追い風”となることは間違いないだろう。

 今季はコロナ禍の影響で、11月中旬まで続く異例のペナントレースとなるが“天の時”と“地の利”を生かした大山の初キングに期待だ。