ついに10連勝だ! 広島は24日、敵地で巨人に4本塁打を含む12安打を浴びせて8―3で快勝した。この日は父・義雄さんの死去で戦列を離れていた緒方監督が合流。一発攻勢に小技も絡め、執念の継投でライバルを突き放した。東京ドームに移籍後初登場となった長野久義外野手(34)も、試合前から縁の下でチームに貢献。試合では9回に代打で登場して11試合ぶり安打を記録し、鯉党だけでなくG党も大いに沸かせた。

 赤ヘルベンチが「向こうと違って、こっちは得点にバリエーションがあった」と胸を張る会心の試合運びだった。初回に先制こそ許したが、鈴木の14号同点ソロを号砲に猛攻を開始。4回にバティスタの一発で勝ち越すと、会沢の適時二塁打で3―1とした。

 一時は1点差に詰め寄られたが、7回は二死三塁から野間が巨人バッテリーのスキを突くセーフティースクイズを成功させて加点すると、再び一発攻勢。8回はバティスタがこの日2本目となる左越え看板直撃の特大ソロ。西川も2号ソロで続いた。

 クライマックスは9回。先頭の田中広が二塁打で出塁すると、ドーム全体がざわめき始める。代打・長野がコールされると、左翼席に陣取る鯉党は大歓声。加えて右翼席のG党も巨人時代のオレンジ色の名前入りタオルを掲げて受け入れた。

 昨年9月30日の巨人ホーム最終戦以来となった長野の東京ドーム凱旋打席。高木京から無死一、三塁と好機を拡大する中前打を放つと、360度から拍手が湧き起こった。試合は7回に一岡が中島へ投じた危険球を巡ってあわや乱闘騒ぎとなり、荒れた空気が充満していたが、最後は千両役者が“円満解決”。両軍ファンの温かい応援に、長野は「ありがたいですね」と頭を下げた。

 最近はベンチを温める日々の長野だが、持ち前の明るさで若いナインを盛り上げている。この日は都内の自宅から球場に一番乗りしてチーム本隊を待ち受け「ようこそ、東京ドームへ!」と迎えて後輩たちを和ませた。

 とはいえ期待通りの結果を残せていない現状に、本人は歯がゆさも感じている。最近も親しいチームメートには「オレ、“巨人のスパイ”って思われてないかな?」と複雑な心境を打ち明けていたという。

 ベテランの思いを知る仲間は「チョーさんが悔しさを押し殺して明るく振る舞ってくれていることはみんな分かっています。だからこそ早く試合でスポットライトを浴びる機会がきてほしいんです」と願っている。

 2年ぶり破竹の10連勝で球団記録の12連勝まであと2勝。この快進撃の輪に長野も加われば、王者の向かうところに敵はなくなる。