ソフトバンクの中村晃内野手(36)が3日に今季限りでの現役引退を正式に発表した。6月上旬に決意を固め、小久保監督と球団に意思を伝えてレギュラーシーズン半ばでの引退表明となった。
2007年高校生ドラフト3位で入団。主力に定着した13年から3年連続「打率3割」をクリアし、14年には「最多安打」のタイトルを獲得した。着実にキャリアを積み重ねていた19年に自律神経失調症を公表。引退危機を乗り越えて復活を果たすと、20年からは一塁手として4年連続でゴールデングラブ賞に輝いた。
今季は昨秋に受けた腰椎椎間板ヘルニア手術の影響もあり、開幕から打撃の状態が上がらなかった。主に「代打の切り札」として23試合に出場して打率1割2分9厘と低迷。6月9日に出場選手登録を外れた。「結果がすべての世界」と現実を受け止めた上で「最後は自分一人で決めるつもりだった。それがずっと野球をやってきた自分への敬意」と流儀を貫いた。
職人肌で知られる。口数は少なく、群れることを好まなかった。人にどう思われようが、強い信念があった。「この世界でやる上で『トゲ』というか、人を寄せつけない鋭さというか、そういうものが大事だとずっと思ってやってきました。チームメートは友達ではないですから。基本的に練習は一人でやるもの。なあなあじゃ、やっぱりダメなんです」。中村晃が主力となってからリーグ優勝6度、日本一7度。その希少な存在がチームを引き締め、後輩たちの手本となり続けたことが、常勝軍団の安定した強さをもたらした。
若手から意見を吸い上げる立場になって、最近は丸くなった。だが、本心は「僕はずっとトゲを持ち続けたいんですよ」――。こだわり続けた理由は「優しさっていうか、そういうものがこの世界で生き抜く上で邪魔をすることもある」という考えからだった。「若い人はもっとトゲがあっていい。継続して地位を確立するためには必要なものだから。足りないし、気づいてほしい」。まだ現役は続く。残された時間、思う存分に真骨頂を発揮するはずだ。












