鍵を握るのは「5・20」か。MLBの新たな労使協定交渉が難航し、来春まで長期化するとの見方が広がっている。
MLB機構側は3日(日本時間4日)にサラリーキャップ(年俸総額上限)の導入を1年遅らせる修正案を提示したが、選手会は即座に反発。両者の隔たりの大きさを物語るひと幕となった。米全国紙「USA TODAY」の敏腕記者として知られるボブ・ナイチンゲール氏は4日(同5日)、ポッドキャスト番組「ファウル・テリトリー」にゲスト出演。「もしMLBが『年俸総額の上限は10億ドルにし、全チームに5億ドルの支出を義務づける』と言っても、上限があるというだけで拒否されると本気で思っている」と語った。たとえ機構側がどれだけ高額な上限を提示しても、サラリーキャップ制度そのものに反対する選手会の姿勢は変わらないとの見解を示した。
その上で「本格的な交渉が始まるのは、おそらく2月。実質的な進展があるのは、4月に選手への給与が支払われなくなってからだと思う。そこで、どちらが先に折れるかを見ることになる」と予測した。
元大リーガーのアンソニー・リゾ氏(37)とデビッド・ロス氏(49)も、自らのポッドキャスト番組「ロス&リゾ・アンフィルタード」で交渉の行方を議論。リゾ氏は「ファンのみんなには分かってほしい。野球にはこれまでずっとサラリーキャップがなかった。それは僕らの前の、そのまた前の、さらに前の世代が守ってきたものなんだ」。現役引退2年目として選手側の思いを代弁し「今回の労使協定交渉では、決めなければならないことが本当にたくさんある。でも、実際に期限が迫るか、オーナーたちが損失をこうむり始めるか、選手たちが給与の面で影響を感じ始めるまでは、残念ながら物事は動き始めない」と持論を述べた。
これに対し、ロス氏が注目したのは放映権契約だ。「一つ聞いたのは、一応の期限のようなものがあって、5月20日(同21日)までに試合が行われなければ、テレビ放映権契約が翌年に繰り越されるということ。放映権はオーナーたちにとって非常に重要だ。それが早くグラウンドに戻るための後押しになるかもしれない」と語った。
米スポーツ専門サイト「アスレチック」によると、来季の各球団の試合が60試合以上失われた場合、2028年限りで満了する全国放映権契約の多くが、29年まで1年延長されるという。MLBは29年から配信も含めた新たな放映権契約による収益拡大を狙っているだけに、長期のロックアウトはその構想を1年先送りにする可能性がある。
新契約による収益増を逃しかねない時期が近づけば、オーナー側にも決断への圧力が強まる。選手の給与と球団の放映権収入。双方の懐に及ぶ影響がこう着した交渉を動かすことになるのか。ロス氏が交渉の節目とみる来年5月20日まで、まだ道のりは長そうだ。












