〝金満軍団〟の独走に待ったがかかった。今オフ最大の目玉、タリク・スクバル投手(29)の残留を狙うドジャースが、ヤンキースとカブスの猛追によって思わぬ苦境に立たされている。今季途中にタイガースから大型トレードで獲得した左腕は、シーズン終了後にFAとなった。球団が主導権を握ると思われがちな争奪戦だが、実情はそう単純ではない。

 米メディア「ファンサイデッド」運営のドジャース専門サイト「ドジャース・ウェイ」は4日(日本時間5日)、ヤンキースとカブスの存在によってドジャースが大きな不利に直面していると指摘。今季ナ・リーグ優勝決定シリーズでブルワーズに敗れ、3連覇を逃したドジャースにとって、サイ・ヤング賞2度の左腕との再契約は最優先課題だ。だが、その前に立ちはだかるのが〝契約の長さ〟と財政事情である。

 ドジャースはカイル・タッカーとの契約に象徴されるように、高額年俸の短期契約を好む傾向がある。大谷翔平らとの契約で巨額の後払い負担も抱える中、スクバルには総額4億ドル(約633億円)以上、10年超の契約も取りざたされる。長期巨額のオファーが飛び交えば、資金力に物を言わせるドジャースでも容易に応じられないというわけだ。

 逆にヤンキース、投資会社アポロ・グローバル・マネジメント系との総額26億ドル(約4116億円)の資金調達契約で財務基盤を強化。スタントンとマクマホンの契約満了を見込めば、2028年以降の支出余地も広がる。今季はア・リーグ地区シリーズでレイズに完敗。悲願の世界一奪還へスクバルを迎えれば、厚くなった先発陣からトレードで他の弱点を埋めることも可能になる。

 カブスも事情は切実だ。長期離脱しているスティールや故障がちなカブレラに頼らざるを得ず、絶対的エースが不在。ボイド、カーソン・ケリーらの来季契約オプションが行使されなかったこともあり、人件費には余裕が生まれた。2027年の推定給与総額は今季の約2億4920万ドル(約394億円)から約1億5210万ドル(約241億円)に縮小しているという。何より、スター投手のひしめくドジャースやヤンキースと異なり、スクバルに「唯一無二の大黒柱」という特別な地位を用意できるのは強みだ。

 同サイトは両球団が争奪戦で優位に立つ可能性まで指摘する。ドジャースの看板と潤沢な資金だけで残留を勝ち取れるほど、今回は甘くなさそうだ。