身を削ってチームに忠誠を尽くした――。今季ソフトバンクの開幕投手を務めた上沢直之投手(32)は2年連続で2桁勝利をマーク。日本シリーズでも第1戦の先発を託されるなど、シーズンを通して「大黒柱」の責任を果たした。
上沢の「2432球」がなければ、リーグ3連覇、2年連続日本一にはたどり着けなかったはずだ。「最大の功労者と言えるかもしれない」。そんな声がチーム内から聞こえてくるのは当然だろう。
上沢が今季最短となる3回KOに追い込まれた5月15日の楽天戦、チームの動揺は計り知れなかった。「〝飛んだ〟かもしれない」。かねて違和感のあった右ヒジが悲鳴を上げていた。顔面蒼白。試合後の表情に、先行きの不安がにじんだ。長期離脱も覚悟したが、何もやらずに戦場を離れることを嫌った。
「まずは痛くない投げ方を探そうと。リリース時のヒジの角度を変えた。僕も投げられるとは思っていなかった。投げられたとしても、勝てるかどうか分からなかった」。約1か月の離脱はあったものの、その後は最後まで投げ続け、大事な8月以降の登板に至っては負け知らず。とうに「限界点」を超えながら投げ切った今季の2432球には、大黒柱の責任感が詰まっていた。
加入2年間で通算45試合、280イニングは先発陣ではダントツの数字で、防御率2・57と安定したパフォーマンスを発揮して22勝10敗と貯金を量産した。4年契約の折り返し地点を迎えても、長期契約に守られようという気持ちは一切ない。「来年のことを考えて、すぐに動こうと思っています」。シーズン全日程が終了し、日を置かずに右ヒジにメスを入れるつもりだ。
鷹に上沢あり――。仲間からたたえられることほど名誉なことはない。特別な存在であることを証明したシーズンだった。











