ゴジラの帰還が、巨人に〝世界規模の夢〟をもたらす。巨人は23日、松井秀喜新監督(52)の就任を正式発表。都内のホテルで山口寿一オーナーと会見した新指揮官は、24年ぶりに古巣へ復帰し、背番号「90」のユニホームに袖を通した。注目は采配だけではない。MLBで築いた規格外の人脈が、名だたるメジャーリーガーの大型補強や超豪華な指導陣を呼び寄せる可能性が出始めている。
日米通算507本塁打の大スターが古巣の命運を背負う。「今日は満面の笑顔で自分の故郷に戻ってきたつもりです」。松井監督は就任会見で、そう語り「これからのジャイアンツに新たな黄金時代が訪れるよう、今日ここからスタートしていきたい」と宣言した。
山口オーナーも「強いジャイアンツにしていくには、松井監督にお願いするしかない」と期待を込めた。契約は3年。恩師・長嶋茂雄氏が監督時代に着けた「90」を背負い、30日から始まる秋季キャンプで本格始動する。「指導者の経験はほぼありません」と自ら認めたが、手持ちのカードが乏しいわけではない。
新体制の最大の武器となり得るのが、現役、引退後の20年以上で培った〝MLB人脈〟だ。松井監督はヤンキースのGM特別アドバイザーとして12年間、傘下の若手育成に尽力。現主将兼主砲のアーロン・ジャッジ外野手もマイナー時代の教え子。2015年には打撃の体の使い方を直接伝授した。
ならば将来的にジャッジが選手として、師匠が新指揮官となった巨人のユニホームに袖を通したら――。実現すれば、球界騒然の超大型補強だ。一方、ヤンキース時代に親交を深めた元主将デレク・ジーター氏や、09年の世界一をともに味わったアレックス・ロドリゲス氏ら大物OBには、臨時コーチ就任や将来の入閣という夢も膨らむ。
松井監督は会見で「選手が自分自身で成長できるように」と力説した。米球界の練習法やデータ活用を巨人流に取り込み、若手が自ら課題を克服できる環境を整えてこそ、その人脈は真価を発揮する。
人脈はグラウンドの外にも広がる。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMに加え、エンゼルス在籍時のアート・モレノ・オーナー、アスレチックス在籍時の編成トップで現上級顧問のビリー・ビーン氏。エンゼルスは球団売却で合意済みだが、人脈の幅広さは際立つ。12年の現役最後に在籍したレイズの編成トップは、現ドジャース編成本部長のアンドリュー・フリードマン氏。こうした球団との縁が助っ人の獲得や育成、情報交換に生きない手はない。
数字では測れない選手の適応力や人柄を見極めるには、現地の情報が欠かせないはずだ。交渉はフロントの仕事でも、松井監督の助言が〝掘り出し物〟の獲得につながるかもしれない。
MLBの現行労使協定は12月1日(日本時間2日)に失効予定。ロックアウトとなった場合、MLBは選手がその間、NPBなどでプレーすることを認める方針を各球団に通達したと報じられている。来春まで長期化すれば、超大物の一時的な来日も想定される。一方でジャッジにはヤンキースとの長期契約があり、本人の意向や球団間の調整も含めハードルは高い。それでも師弟の縁を生かしたロックアウト中の短期加入、あるいは松井監督の在任中に実現する数年先の大型補強という構想は十分に描ける。
松井監督は「今、世界一の野球選手が日本人であることも事実です」と述べ、巨人から世界に通用する選手を育てる決意を示した。巨人の理念は「アメリカ野球に追いつけ、追い越せ」――。その理想を、海の向こうで得た〝スーパーコネクション〟を武器に実現できるか。新生巨人の夢は松井新監督を発信源に東京ドームの外、世界へ広がっている。













