プロ野球のドラフト1位候補としても注目された最速157キロ右腕・織田翔希投手(3年)が15日に横浜高校で会見し、卒業後の進路としてMLBを目指すことを表明した。NPBを経ずにメジャーを目指すことに日本球界は落胆ムード。しかも織田の契約規模はNPBの上限をはるかにしのぐ破格の「5億円超」に上るとみられ、有望株が流出し続ける危機的状況に歯止めが利かない事態となっている。
メジャーの猛威がとどまることを知らない。かねてドジャースへの入団がささやかれてきた織田が出した答えは、米球界への挑戦だった。
NPBでは今月22日にドラフト会議が行われる。12球団がチームを運営、補強していく上で最も重要な機会で織田が〝国内OK〟を表明すれば、多くの球団が1位指名を本格的に検討するはずだった。しかし、金の卵の決断はメジャーでNPBスカウトたちは一斉に深いため息をついた。
ただ、目玉となり得るドラ1候補が直接MLBを目指す流れは、織田にとどまらないとみられている。NPBスカウトの一人は「このようなケースが今後増えることはあっても、減ることは考えにくい」と打ち明けた。
すでに森井翔太郎投手が桐朋高からアスレチックスとマイナー契約を結び、今年のドラ1候補とされた佐藤幻瑛投手もMLB入りを目指して昨年12月に仙台大を退学し、ペンシルベニア州立大に編入。スタンフォード大に進学し、ソフトバンクから1位指名を受けていた佐々木麟太郎内野手もマーリンズと契約した。
有望株とはいえ、どの選手たちも学生。職業選択の自由が保証され、自分たちの意思によって将来を選択したに過ぎない。一方で多くのMLB球団にとってNPBはアジア市場の重要拠点。NPBのレベルの高さは実証済みで、多くのMLB球団が「環太平洋スカウト」「アジアスカウト」などの肩書でスタッフを常駐させ、人材の獲得競争は激化の一途をたどっている。
しかも、NPB球団から提示できる金額の上限は出来高を含めて1億5000万円。だが、MLBはその限りではなく、マイナーの森井でも総額176万500ドル(約2億7300万円=当時)と条件面で上回る。合意には至らなかったものの〝韓国の大谷〟と称される二刀流の逸材、ハ・ヒョンスンはヤンキースから300万ドル(約4億7400万円)を提示されたと報じられた。
それだけNPBをはじめとするアジア圏のプロ野球界は、圧倒的な資金力を誇るMLB球団の前には待遇面で太刀打ちできない状況にある。さらに関係者の話を総合すると、織田は最終的に「5億円超」の大型契約になるとみられるといい、NPBの上限額を3倍以上も上回ることが確実視されている。
そして、NPBスカウトたちの間では次なる〝不穏情報〟も駆け巡っている。192センチと体格に恵まれ、最速154キロを誇る大阪桐蔭の大型左腕・川本晴大投手(2年)に、早くも接近し始めているMLB球団があるという。順調にいけば来年のドラフト候補となるはずだが、織田と同じ道をたどるのではないかと危機感を募らせている。
大谷の歴史的活躍で世間的にもすっかり身近な存在となったMLB。現状は防戦一方で、日本球界が根幹から揺らいでいる。













