海を越えた〝祝砲〟が、ゴジラの新たな船出を彩った。巨人が23日に松井秀喜新監督(52)の就任を発表したことを受け、ヤンキースが球団公式X(旧ツイッター)で祝福。「ヤンキースのレジェンド・松井秀喜さんが読売ジャイアンツの監督に就任されるとのこと、おめでとうございます! 新たな門出が素晴らしいものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます」と、かつての世界一の立役者にエールを送った。投稿には祝福のグラフィックも添えられ、日本球界で新たな挑戦を始める〝ゴジラ〟への敬意をにじませた。

 注目すべきは、松井新監督が単なる「元ヤンキースのスター」ではないことだ。現役引退後も球団との関係を保ち、ヤンキースGM職に就くブライアン・キャッシュマン氏のGM付特別アドバイザーとして若手育成に携わってきた。つまり今回の祝福は、かつての英雄だけでなく、球団組織を支えた〝身内〟の新天地への出発を祝うメッセージでもある。

 2003年に巨人からヤンキースへ移籍した現役時代の松井氏は、本拠地デビュー戦のツインズ戦で満塁本塁打を放ち、鮮烈な第一歩を踏み出した。09年のワールドシリーズでは打率6割1分5厘、3本塁打、8打点を記録。フィリーズとの第6戦では6打点を挙げ、シリーズMVPを獲得した。ヤンキースが最後に世界一となった舞台で主役を演じた功績は、今もファンの記憶に刻まれている。

背番号90を披露する松井秀喜新監督
背番号90を披露する松井秀喜新監督

 13年には1日限定契約を結び、ヤンキースの一員として正式に引退するセレモニーまで開催された。ユニホームを脱いだ後も関係を保ち続け、選手育成という新たな仕事に取り組んできたことが、今回の祝福につながったといえそうだ。

 しかも松井新監督は同日の就任会見で、12年間携わったヤンキースでの育成経験に自ら言及。世界に通用する選手を巨人から送り出す決意を示した。巨人で育った選手が海を渡り、今度はMLB仕込みの育成思想を日本へ持ち帰る。まさに〝ゴジラ流の逆輸入〟である。会見では影響を受けた指導者として長嶋茂雄氏だけでなく、ヤンキース時代の恩師ジョー・トーリ氏の名前も挙げた。日米両名門のDNAをどう融合させるかにも注目が集まる。

 背負う番号は、現役時代の「55」ではなく、恩師・長嶋氏が監督就任時につけた「90」。勝利と育成の両立を求められる3年契約の船出に、海の向こうから届いた祝意は心強い。ただし名門からの声援が、そのまま白星になるわけではない。ヤンキースの後輩たちにも胸を張れる〝ゴジラ巨人〟を築けるか。真価が問われるのはここからだろう。