王者の「未来」を支える〝金の卵〟が、歴史ある野球王国から消えつつある。プエルトリコが生んだ伝説の外野手ロベルト・クレメンテ氏をたたえる「ロベルト・クレメンテ・デー」の15日(日本時間16日)、米スポーツ専門局「ESPN」は同国からメジャーへ続く人材供給ルートが「崩壊の危機にある」と警鐘を鳴らした。
今季メジャーでプレーしたプエルトリコ出身選手は27人で、2001年の54人から半減。26年ドラフトの指名もわずか5人で全員13巡目以降、17年以来1巡目指名も途絶えている。
最大の要因とされるのが、1989年にMLBが同地を「ルール4ドラフト」の対象に組み込んだことだ。それまでは16歳から国際FAとして契約でき、各球団も現地で発掘、育成に投資していた。だが、導入後は見つけた逸材を他球団に先に指名される可能性が生じ、球団の投資意欲が薄れたという。
無関係ではいられないのがドジャースだ。大谷翔平投手(32)の負傷者リスト(IL)入りに伴い、トッププロスペクトのホスウェイ・デパウラ外野手(21)を昇格させたように、分厚い育成組織は強さの源泉だ。18年からプエルトリコを担当するケルビン・コロン氏によれば、島内常駐のMLB球団専任スカウトは自身以外に「2人しか知らない」という。デパウラは同地出身ではないとはいえ、世界から才能を集めるドジャースにとって人材供給源の細りは看過できない。
しかもMLBが選手会に示した案には、国内ドラフトを20巡目から12巡目に縮小し、高校卒業から少なくとも2年後を参加条件とする内容も含まれる。実現すればプエルトリコには追い打ちとなりかねない。一方、国際FA市場への復帰にも若年層が学業から離れる懸念があり、単純な制度変更では解決しない。
コロン氏は「将来の見通しは曇っている」としながら、現地にはまだ才能があると訴える。王者の強さを支える人材発掘。その一角を担うプエルトリコの〝空洞化〟は、ドジャースにとっても無縁の話ではない。












