快走する首位チームの最大の難敵は、グラウンドの外に潜んでいる。8月3日(日本時間4日)のトレードデッドラインを前に、ア・リーグ東地区でヤンキースに3ゲーム差をつけて首位を走るレイズの編成方針が注目されている。先発陣などの補強に動く「買い手」とみられる一方、今後の球団経営を左右しかねない難題がある。ジュニア・カミネロ内野手(23)との大型長期契約だ。

米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は14日(同15日)、レイズとカミネロにとって契約延長を最優先事項とすべきだと指摘。今後10年間、チームの顔として引き留めるには相当な資金が必要になると報じた。

 記事によれば、カミネロは今週、米スポーツ専門局「ESPN」のジェフ・パッサン記者と対談。次期労使交渉を巡るロックアウト懸念やサラリーキャップについて話が及ぶ中、メッツのソトやブルージェイズのゲレロに続く巨額契約候補であることを意識する発言を残したという。

 無理もない。昨季は45本塁打、110打点と大ブレークし、今季前半戦も28本塁打。6試合で7発を放つなど記録的な猛打を見せ、球団内のWARでもトップに立った。もはや「将来有望な若手」ではなく現在進行形のスーパースターである。

 レイズはこれまでも、育成した主力がFA市場に出る前に契約延長で囲い込んできた。しかし今回は勝手が違う。カミネロの価値は早くも球界最高級に跳ね上がった。球団に有利な条件で安くまとめることは難しく、かといって限られた予算の大半を一人へ集中させれば、得意としてきた機動的な編成が縛られる。

 そこで不気味なのが金満球団の「からめ手」だ。契約交渉が難航して放出論が浮上すれば、ドジャースも狙う展開は十分にあり得る。豊富な資金と有望株を持ち、過去にはレイズからグラスノーを獲得した実績もある。同地区のヤンキースにとっても、首位争いの相手から中核を引き抜ければ、自軍強化とライバル弱体化を同時に果たせる。水面下で動向を注視しない理由はない。

 期限前の補強以上に重要なのは、至宝を他球団の射程に入れないことだ。首位快走の勢いを一過性で終わらせないためにも、レイズは「買う」前にカミネロを将来にわたって買われない土台を築けるか。その交渉こそ、今夏最大の勝負になる。