沈みかけた名門を救ったのは居場所を求める大砲と、居場所を奪い返した日本人打者だった。レッドソックスは12日(日本時間13日)、ニューヨークのシティ・フィールドで行われたメッツ戦に延長10回、3―2で競り勝ち、怒涛の9連勝で前半戦を締めくくった。エンゼルス、ホワイトソックス、メッツを敵地で3カード連続スイープ。2週間前までトレード期限を前に主力放出も取り沙汰されたチームが、直近16試合14勝2敗でワイルドカード圏へ肉薄し、一転して「買い手」に回る勢いだ。

 その反攻の象徴がウィルソン・コントレラス内野手(34)だ。米メディア「ヘビー」は14日(日本時間同日)、直近15試合で9長打、17打点をマークし、追加選出で球宴にも名を連ねた強打者を特集。今季は打率2割8分5厘、20本塁打、OPS0・920超とキャリア最高級の打棒を見せ、13日(同14日)のホームランダービーでも最長490フィート(約149メートル)の特大弾を放った。

 球宴期間中にはポッドキャスト「セクション10」に出演し「ここにいさせてくれ。ずっとここにいたい」ときっぱり。本拠地フェンウェイ・パークのエネルギーを「独特」とたたえ、クラブハウスの結束にも惚れ込んだ。強打だけでなく、ボストンへの忠誠まで鮮烈に打ち出した格好だ。

球宴のHRダービーで149m弾を放ったレッドソックスのコントレラス(ロイター)
球宴のHRダービーで149m弾を放ったレッドソックスのコントレラス(ロイター)

 その一方で、見逃せないのが吉田正尚外野手(32)の復権だ。コントレラスがDHに入る日は出場枠が重なり、常時先発への道はなお険しい。大型契約が残る中で放出先も見つけにくく、一時は「飼い殺し」さえ懸念された。だが、限られた打席で結果を積み上げている。5日(同6日)のエンゼルス戦では5打数3安打1打点。11日(同12日)のメッツ戦では8回に右翼ポール際へ3号2ランをたたき込み、4―0の勝利と8連勝を決定づけた。

 代打、スポット先発を問わず、勝負どころで左のバットが答えを出す。コントレラスが打線の軸として勢いを生み、吉田が与えられた役割を全うして流れをつなぐ。かつてフロントを悩ませた戦力の重複は、いまや相手に異なる脅威を突きつける厚みへ変わりつつある。

「不要論」の渦中にいた吉田が勝利のピースとなり、コントレラスは「ずっといたい」と宣言した。売り手候補から買い手へ――。レッドソックスの急旋回を最も喜んでいるのは、再起を期した2人と、重い決断を迫られていたフロント陣に違いない。