勝っても消えない小さな亀裂が、王者の足元をじわりと揺らしている――。

 ドジャースの大谷翔平投手(31)とダルトン・ラッシング捕手(25)の〝口論〟まがいの一幕が、一夜明けても米球界でくすぶり続けている。24日(日本時間25日)の敵地ツインズ戦(ターゲットフィールド)で、大谷は先発し、6回5安打3失点(自責2)、8奪三振で今季8勝目。打っても適時打を含む2安打1打点をマークし、チームは4―3で競り勝って3連勝とした。

 問題の場面は2回だった。配球確認を巡って大谷とラッシングの意思疎通にズレが生じ、捕逸で同点を許した直後、ライアン・クレイドラー内野手(28)に2点打を浴びて逆転された。その後、ボール・ストライク判定へのチャレンジを求めた大谷に対し、ラッシングが強い身ぶりで異を唱えたように映り、バッテリー間の不協和音として一気に拡散。大谷の見立ては結果的に正しかっただけに、若い捕手への風当たりは強まった。

 試合後、ラッシングは「最初から最後まで良くなかった。かなり恥ずかしかった」と自らの非を認め、改善を誓った。それでも火消しには至っていない。米メディア「ファンサイデッド」運営のドジャース専門メディア「ドジャース・ウェイ」は25日(同26日)、この一件について、ドジャースに「真剣な対応」が必要だとする厳しい論調で報道。チームの〝正妻〟であるウィル・スミス捕手(31)が首の不安を抱え、捕手層が手薄な事情はあるものの、ラッシングをこのまま先発起用し続けるべきではないとの見方まで示した。

 ドジャースは24日現在で52勝29敗。ナ・リーグ西地区首位を独走し、得失点差もプラス144と圧倒的な総合力を誇る。だからこそ、勝利の陰で起きたバッテリー間の小さな火種を軽視できない。大谷は3回以降、自ら配球を主導して立て直し、クオリティースタート(QS=6回以上、自責点3以下)の内容も残して試合を掌握した。その姿はエースの貫禄そのものだったが、裏を返せば捕手との信頼関係に課題を残したとも言える。

 ラッシングは将来を期待される若手とはいえ、王者軍団の中心である大谷を相手に感情をむき出しにする振る舞いは、チーム内外に余計な波紋を広げる。10月を見据える首位チームにとって、敵は相手球団だけではない。足元に生じたわずかな亀裂をどう修復するか。ドジャースの強さが、今度はクラブハウス内の対応力で問われている。