阪神・佐藤輝明内野手(27)を巡るメジャー市場がにわかに〝インフレ状態〟に突入している。

 21日、甲子園で開催予定だった中日戦が雨天中止。午後4時の開門、開始時間遅延となっても球場には複数のメジャー関係者が集結していた。そのプレーを視察することはかなわなかったが、水面下ではし烈な駆け引きが展開されている模様だ。

 今季の佐藤は43試合に出場し打率3割7分2厘、12本塁打、35打点でセ・リーグトップ。内容面でも昨季までと比較してレベルアップしていることは明らかだ。速球対応や空振りの多さが課題として語られてきたが、現在はスイングがややコンパクトになり、ミート率が上向いたという見方も出てきた。そこに複数のMLB球団が熱視線を送っているのは事実で、フィリーズからはマッティングリーGMら球団首脳が来日し、佐藤を直接チェックしている。

 今季MLBではABSチャレンジ導入後に四球率が上昇。打者有利の環境変化が起きているとの分析もある。そこへきて、日本から海を渡ったホワイトソックス・村上、ブルージェイズ・岡本が本塁打を量産している。あるメジャースカウトは「日本より狭いストライクゾーンであれば勝負できると見ている球団も多いはず。2人の活躍で日本人スラッガーの相対的評価が見直されている部分は大きいね」と語る。

 さらに、同スカウトは「韓国など完全なロボット判定で打者天国になっている」とも指摘する。MLBでも同制度の導入後、打者有利な傾向で推移しているだけに、佐藤輝の価値はうなぎ上りというわけだ。

 そのスカウトはこうも言う。「フィリーズはGM、GM補佐が来日して視察している。今の成績を維持すれば、最低ラインが5年1億ドル(約159億円)にもなる可能性だってあるでしょう」。以前なら「飛ばし」と一蹴された数字が、今は完全には笑えない。もっとも、それでも5年159億円級となると、まだ市場全体の熱が先行している印象は拭えないのだが…。NPBでの実績をそのままMLBへ持ち込める保証はなく、守備位置、三振率、内角対応など、MLBで改めて問われる要素は多い。それでも、追い風が吹いているのは間違いない。

 佐藤が相場を作っているというより、今のMLB市場そのものが佐藤を高く売る方向へ動いている。面白いのは、ここから先だ。本当に〝その値札〟にふさわしい打者かどうか。虎の4番が相場急騰の環境でどんな結果を残すのか。世界がその姿に注目している。