ヤンキースの黄金時代が、静かに再起動し始めている。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は21日(日本時間同日)、ア・リーグ東地区2位につけるヤンキースの新たな屋台骨として、キャメロン・シュリトラー投手(25)とベン・ライス内野手(27)の台頭を大きく取り上げた。

 20日(日本時間21日)終了時点でチームは、30勝20敗の貯金10。首位レイズを追う立場ながら、単なる追走集団とは様相が違う。投打に若い核が生まれ、近未来の設計図まで見え始めているからだ。

 シュリトラーは今季11試合に先発し、6勝2敗、防御率1・50、75奪三振。198センチの長身から100マイル(約161キロ)級の速球を投げ込み、制球面も改善させた。同サイトによれば、四球率は昨季の10・2%から4・9%へ低下。力任せの速球派ではなく、試合を支配できる先発投手へ脱皮しつつある。

ベン・ライス内野手(ロイター)
ベン・ライス内野手(ロイター)

 一方のライスも、今季は打率2割8分9厘、16本塁打、33打点、OPS1・042と強烈な存在感を放つ。左投手と変化球への対応力向上を課題に掲げ、左腕相手のwRC+を昨季の104から今季169まで引き上げたという。もともと2021年ドラフト12巡目指名の伏兵。だが今やアーロン・ジャッジ外野手(34)から「必見の選手」と評されるまでになった。

 何より大きいのは、2人がまだ長く球団の支配下にある点だ。ライスは31年まで、シュリトラーは32年までFAにならない。高額補強に頼り続ければ、ぜいたく税と年俸総額の重圧は避けられない。だからこそ、比較的低コストでMVP級、サイ・ヤング賞級の働きを期待できる生え抜きの成長は、名門にとって最大級の補強となる。

 近年のヤンキースはジャッジ、ゲリット・コール投手(35)、ジャンカルロ・スタントン外野手(36)ら主力の年齢上昇と向き合いながら、外部補強で勝機を延ばしてきた。しかし、フアン・ソト外野手(27)の流出が象徴したように、札束だけで未来を買い切ることはできない。シュリトラーとライスの出現は、その流れを変える可能性を秘める。

 首位レイズとの差は20日(日本時間21日)時点で、まだ4ゲーム。だが、今のヤンキースが手にしているのは今季の反攻材料だけではない。ジャッジの時代と並走する形で、次世代の柱がすでに育ち始めている。ブロンクスに再び長期政権の気配が漂い始めた。