打球音が変わった――。そんな実感を抱かせるほど、ファイターズ打線のアーチ量産が際立っている。NPB側は今季からの導入を否定しているものの開幕直後から「飛ぶボール」説もささやかれる中、その追い風を結果に結びつけているのが新庄剛志監督(54)率いる日本ハムだ。

 13日現在、7勝7敗でパ3位のチームは14試合を消化し12球団最多の26本塁打。万波中正外野手(26)と清宮幸太郎内野手(25)がともにパ1位タイの5本、野村佑希内野手(25)が同4位タイの4本、フランミル・レイエス外野手(30)、郡司裕也捕手(28)、ロドルフォ・カストロ内野手(27)も2本で同7位タイと争いに加わる。奈良間大己内野手(25)、田宮裕涼捕手(25)、水谷瞬外野手(25)らにも一発が出ており、主砲のレイエス頼みではないのも今年の特徴だ。昨季20本塁打の万波、同12本塁打の清宮が量産ペースを上げ、近年は伸び悩み傾向も指摘されていた野村にも早々に結果が出ている。長打専業のイメージが薄い打者にまでアーチが広がっている点も大きい。

 背景にあるのは、昨年からファームで進めてきた育成方針の転換だ。球団関係者は「1日における時間的な量も、ウエートなどフィジカル・メニュー6割、技術練習4割ぐらいに変えた」と説明する。従来は技術練習6~7割、体力強化3割程度だった「練習日」の比重を逆転。今春キャンプでも、その路線は継続された。

 一般的に二軍キャンプはグラウンドで鍛え込む場という印象が強いが、日本ハムは違う。投打とも技術練習は午前中でほぼ終え、午後は「特打・特守」などを挟みつつも、主眼は外部の関係者が見えにくいウエートルームでの肉体強化に置かれてきた。二軍関係者が「二軍キャンプに評論家の人が来ると『練習量はこれだけでいいの?』って聞かれることが多かった」と苦笑交じりに振り返るのも、そのためだ。

 外から見えるメニューが減っただけで、何もしていなかったわけではない。技術偏重からフィジカル重視へとかじを切り、筋量と出力を高めたことが打球の強さと飛距離の向上につながった。ちなみに万波や清宮は開幕直前の3月までファーム調整を経験し、野村、奈良間、田宮らも一、二軍を行き来してきた。一軍を支えるファーム組織の地道な取り組みも、新庄ハムのアーチ激増を後押ししている側面がありそうだ。