スーパースター級の〝売れっ子〟誕生に、うれしい悲鳴が上がっている。ソフトバンクは8日の西武戦(みずほペイペイドーム)に1―2で競り負け、今季初のカード負け越しを喫した。自慢の打線は相手先発・高橋光成投手(29)の前に8回まで11三振、2安打無得点。難敵が降板した9回に1点を返すのが精いっぱいだった。

 それだけに、台湾の至宝が見せた好投はなおさら光った。本拠地初登板となった徐若熙投手(25)は、前回1日の楽天戦に続いて安定感を発揮。この日も7回6安打、5奪三振、1失点と試合をつくり、90球でハイクオリティースタート(7回以上、自責2以下)を達成した。失点は一発攻勢によるソロ本塁打だけ。小久保裕紀監督(54)も「インサイドのめちゃくちゃ難しい球」と相手打者をたたえたが、本人は「失投。もったいない1球」と悔しさをにじませた。

 それでも、マウンド上での存在感は日に日に増している。台湾代表のエースとして臨んだ第6回WBCでも結果を残し、チーム合流後も安定した投球を継続。開幕ローテーション入りを果たしただけでなく、早くも本拠地の空気を変えるほどの注目を集めている。

徐若熙のタオルを掲げるファン
徐若熙のタオルを掲げるファン

 その熱狂は、球場の外でも膨らんでいた。球団関係者が〝見通し不足〟を猛省するほどの人気爆発で、グッズショップでは異変が起きている。補強の目玉だった徐若熙関連グッズが、店頭から次々と消えているのだ。球団によれば、レプリカユニホームなどの人気商品はWBCを機に並んだ瞬間に完売。担当者も「柳田クラスの売れ行き。インバウンド効果もあって、想定以上だった」と見込み違いを認めた。この日も台湾から駆けつけたファンが「大量にグッズを買って帰ろうと思っていたのですが、タオルしか買えませんでした」と肩を落としたという。

 チームの顔である柳田悠岐外野手(37)に匹敵する人気ぶりを受け、球団はすでに徐若熙関連グッズの増産、大量発注を決断した。人気だけが先行しているわけではない。マウンドでの結果が伴っているからこそ、熱狂はさらに加速する。この日は台湾主要メディア4社も来日し、報道合戦を展開した。台湾市場開拓に力を注ぐホークスにとって、徐若熙は補強の目玉にとどまらない。早くも球団の景色そのものを変え始めている。