開幕直後からいまひとつ波に乗り切れないパドレスに、早くも打線の底上げを求める声が出始めている。米メディア「ヘビー」が注目したのは、ナショナルズのジェームズ・ウッド外野手(23)だ。単なる補強候補ではない。パドレスがかつて自ら手放した左の大砲候補であり、今になってその名が蒸し返されること自体、チームが抱える不安の深さを物語っている。

 ウッドはナショナルズの主力候補として、将来を嘱望される若手の一人。2021年ドラフトでパドレスから指名を受けたが、22年8月のフアン・ソト外野手(27=メッツ)獲得を巡る大型トレードでワシントンへ渡った。パドレスにとっては〝未来への投資〟を切り崩してでも勝負に出た象徴的な案件だったが、時間がたつにつれ、その代償の重さがあらためて浮かび上がっている。

 しかも厄介なのは、ウッドがただの有望株で終わらず、現実に大物の輪郭を帯び始めている点だ。長打力とサイズを兼ね備えた外野手として、非常に評価は高い。当然ながらMLB公式のプロフィルでもドラフト時の所属がパドレスだった経歴ははっきり残っており、その点を鑑みればサンディエゴのフロント陣が一様にじだんだを踏みたくなる気持ちは分からないでもない。だからこそパドレスの現状に停滞感が漂えば漂うほど、今になって「あのまま手元にいれば」という後悔が重くのしかかってくる。補強論に見えて、その実態は編成への〝再審〟ということだ。つまり当時、ソト獲得に前のめりになってウッドが〝ダイヤモンドの原石〟であることを見極められず、むざむざと放出してしまったことはチームにとって「黒歴史」とも評せる。

 もちろん、当時のパドレスはソトという球界屈指のスターを獲得に動いた。勝負手としての理屈は、確かにまかり通っていたということだ。それでも短期的な上積みを優先した結果、このような形で数年後に〝取り戻したい名前〟として再浮上した流れは皮肉というほかない。

 マニー・マチャド内野手(33)、フェルナンド・タティス外野手(27)らを擁しながら、なお打線の迫力不足や将来像への不安が拭えないからこそウッド待望論が熱を持つ。パドレスが今、見直されているのは戦力ではなく、4年前の夏に差し出した「未来」そのものなのかもしれない。