パドレスをめぐる〝売却戦線〟が、にわかに熱を帯びてきた。米経済紙「ヒューストン・ビジネス・ジャーナル」電子版が26日(日本時間27日)に報じたところによれば、資産114億ドル(約1兆7100億円)の実業家ダン・フリードキン氏(61)が球団買収候補に浮上。売却額は35億ドル(約5250億円)に達する可能性もあり、実現すればMLB史上最高額のオーナー交代となる可能性がある。
サンディエゴの球団売却をヒューストンの経済紙が報じた背景には、買収候補の顔ぶれがある。フリードキン氏はヒューストンを拠点とするフリードキン・グループのオーナー兼CEOで、ガルフ・ステーツ・トヨタを中核に持つ地元財界の大物。今回の案件は「パドレス売却」というスポーツニュースであると同時に、ヒューストン財界の次の一手を追う経済関連の一報と考察すれば、むしろ自然な流れだ。
しかもフリードキン氏は近年、スポーツ投資を一気に拡大させている。イタリア1部ASローマ、イングランド・プレミアリーグのエバートンを保有し、パドレス買収レースでも有力候補の一角に残ったとされる。売却プロセスはすでに最終局面に入り、当初の5組から4グループへ絞り込まれ、最終入札は4月上旬から中旬にかけて行われる見通しだ。
そもそも今回の売却話の発端は、2023年11月に前筆頭オーナーのピーター・サイドラー氏が死去した後に表面化した支配権争いだった。未亡人シール・サイドラー氏は25年1月に訴訟を起こし、MLBは同年2月に故ピーター・サイドラー氏の実兄ジョン・サイドラー氏を球団会長兼コントロール・パーソン(球団の最終意思決定権を持つ代表)として承認。その後、今年2月にはシール氏が訴えの大部分を取り下げ、なお一部係争は残るものの、売却手続きが進みやすい環境が整ったとみられている。
パドレスの〝お家騒動〟は、単なる「球団売却」では終わらない。内紛で揺れた名門にヒューストン財界の大物が本格参戦したことで、一気に大型マネーゲームの様相を帯びてきた。パドレスの新章はグラウンドの中ではなく、まずは球団の外で大きく動き始めているようだ。












